〝親子鷹〟でつかんだ勝利だ! 国内女子ゴルフツアー「アクサレディス」最終日(30日、宮崎・UMKCC=パー72)、67で回った工藤遥加(32=加賀電子)が、通算10アンダーでツアー初優勝を飾った。プロ15年目と〝遅咲き〟での悲願達成。その裏には、プロ野球通算224勝でソフトバンク元監督の偉大な父・公康氏(61)の存在が大きく関係していた。
プロ15年目の遥加は出場267試合目にして、ようやく頂点にたどり着き「本当に長かった。一人では勝てなかったと思うので、家族を含めて自分を強くしてくれた人たちに感謝したい」と喜びをかみしめた。公康氏は娘の吉報を受け、プロ野球・巨人―ヤクルト戦の解説で訪れた東京ドームで取材に応じ、勝因について「メンタルというか、精神的な部分じゃないかなとか思いますよ」と成長を実感している様子だった。
遥加の家族を語る上で、公康氏の存在は欠かせない。プロ入り後、長い雌伏の時を経てつかんだ長女の優勝。野球界のレジェンドは、しっかりアシストしていた。
遥加は2011年のプロテストに一発合格し、持ち前の飛距離と公康氏の娘という話題性もあって将来を嘱望される一人だった。だが、勝利はおろかシード権にすら届かないシーズンが続く。そんな状況を打破すべく、本気モードへスイッチを入れたのは父親だった。
公康氏は21年シーズン限りでソフトバンク監督を退任すると、妻からこれからやりたいことを紙に書いてほしいと求められ「遥加を勝たせてあげたい」と、したためたという。この出来事に遥加は「ふがいない娘で申し訳ないという気持ちだったけど、絶対勝ってやろうと思った」と奮い立った。今週の参戦前にも、その紙を再び見て「親の愛って素晴らしいなと思って、よし頑張ろうと思った」と起爆剤になったと振り返る。
決意は行動にも表れていた。東京五輪ソフトボール女子金メダルの藤田倭へSNSを通じて連絡を取り、23年2月に同選手が所属するビックカメラ高崎の合宿に参加した。「そこから変わって、やっとプロになれたと思った。正直、それまでの13年間とかは、プロではなかった」。
この〝押しかけ入門〟の実現にも父が関係しており「藤田さんも父のことを応援していたみたいで、その子供なので、しょうがないなという感じだった」と遥加は明かした。直後の23年5月に下部ツアーで初勝利。他競技選手への異例の弟子入り志願が結果につながった。
今季開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」前には父から〝金言〟を授かった。「ダイキンの前に『良い球打っている。自分の狙ってる距離は打ててるから、距離の落とし方とかをもうちょっと磨けばいいんじゃない?』とアドバイスをもらい、それをずっと練習していたのが今週も役立った」。偉大な父の存在がプレッシャーになることもあったが、プロスポーツ選手の大先輩が支えになっていたのは間違いない。
もちろん次なる目標は2勝目だが、それだけではない。48歳まで現役を続けた父親を引き合いに「50歳まではレギュラーツアーで頑張りたい」と先を見据える。これからも父と娘の〝物語〟は続いていきそうだ。












