オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第229回は「お盆の魂」だ。

 ある地方において、お盆の時期になると、山の中腹あたりで、ぴょんぴょんと弾みながら降りてくる光る玉が出る。これを俗に「お盆の魂」と呼ぶ。

 昔に亡くなった人たちの人魂が帰ってきたのだろうか。それとも、今年のうちに亡くなった人の魂がさまよっているのだろうか。

 山の中に死者が行くべき場所があるという考え方は、日本の地方においてありがちな考え方である。

 かつて、立山連峰を中心に発達した芦峅寺(あしくらじ)や岩峅寺(いわくらじ)の宗教関係者は、立山曼荼羅を使って、その宗教観を布教することに努めた。立山周辺の死者は死後、立山の山道を登っていくとされた。ちなみに立山には死者が飲みに来る泉があるといわれる。

 また、江戸時代には、死者と遠目に会わせてくれる商売があった。だましの商売であり、もともと性別や年代別にモデルを用意しており、依頼のあった故人と年格好が近いモデルが登場して、依頼者を涙ぐましたそうだ。

 今から20年ほど前、筆者は千葉・船橋内において聞き取り調査のフィールドワークを行い、昭和初期の人魂の話をよく聞いた。若い人の人魂は高く飛んで、老人の人魂は低く飛ぶんだとか。また、死者が出た日などは、屋根の上を人魂が浮遊したものだという。