オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第224回は「かなげ」だ。
今はダムに沈んでしまった村に伝わる妖怪である。その村は春から秋までは農業をやって、冬場はマタギをなりわいとしていた。村人は一冬に1回程度、奇妙なものを目撃したという。
背丈は人間と同じ位だが、横幅はかなりある。赤錆色の鎧のようなものを全身にまとって、手にはしゃもじのようなものを持って、フラフラとさまよっている。
鎧といっても、日本の鎧ではなく、どちらかというと、西洋の鎧に近いとされる。特に人間に対して悪いことはしてこないので、マタギ連中も攻撃などはしなかった。人々はその怪物を「かなげ」と呼んだ。
このかなげとは一体なんであろうか? 雪山で逃走中に死んだ落ち武者の霊であろうか。しかし、西洋風の鎧を身に着けていることから、日本の落ち武者ではないことが分かる。全く見当がつかない。
水神という可能性もあるが、基本的に金属が好きではないので、金属製の鎧を着ていることはありえない。
鎧や刀が意志を持って動き出すということは、まれにある。聞いた話によると、アイヌの酋長の呪いがかかった刀がひとりでに暴れた話を聞いたことがある。鎧というのは中身を守るものだから、魂そのものを守る鎧というものが存在するのかもしれない。












