オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第221回は「垢じいさん」だ。
祠が併設されている公園に住んでいた妖怪である。全身が垢にまみれていて、あずき色のシューズを履いている。一見、ホームレス風だが、本人が言うには「ホームレスではなく、妖怪である」ということであった。
空を飛ぶことができ、ふわふわと浮き上がり、ティッシュが落ちてくるスピードより遅く降下する。その飛行速度は、歩くのより遅い。木の上に放り上げてしまったボールを、泣き叫ぶ子供のために取ってあげたこともある。
非常に優しい性格で、学校でいじめられている少年が公園に来た場合、友達になっていろいろ励ましてあげることがある。
その正体は、はっきりしないが、祠が公園に併設されていたことから、神様が零落したものではないかと推測される。
全身が垢に覆われていることから推測すると、仏像や神像が、どこかに埋没しているのかもしれない。
子供たちと交流をする妖怪や神様は多い。その多くが大人に姿を見せることはない。子供時代に一緒に遊んだ者も、成長するにつれ姿を見ることができなくなる。子供時代の通過儀礼のような存在である。
自分のことを「垢じいさんである」と名乗っているところは非常に珍しい。妖怪の場合、自らの名前を相手に知られることは、致命的な弱点になり得るのだ。ひょっとしたら、本当の名前ではなく、仮の名前かもしれない。
同じように「垢」がつく妖怪としては、「あかなめ」が連想される。「あかなめ」は、全身が垢にまみれておらず、湯船に付いた垢を舐める妖怪である。こちらは教訓妖怪として有名であり、掃除を怠ると出没すると言われた。












