オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第217回は「謎かけバッハ」だ。
ある学校の男子トイレにいる妖怪である。学校のトイレ妖怪としては異例であり、よくあるババア妖怪ではない。
突如として目の前の壁にバッハの顔が現れる。巨大で妙な圧力を感じる顔である。さらにその顔は呪文のように「ダギョウイチマギョウシ、いかに? 取って食うぞ」と聞いてくるという。
これに対して返答する言葉が決まっている。「ダメだ!」と言うとバッハは困った顔をして「参った」と言って消えて逃げてしまうのだ。
なぜ音楽家のバッハが、妖怪のモチーフに使われてしまったのであろうか?
推測するに、音楽室に飾られていた有名音楽家の肖像画が、子供たちの心に強烈なインパクトを残したのではないだろうか。
中でも、ベートーベンとバッハは秀逸である。ベートーベンのバージョンでは、ベートーベンの目が夜になると動くとか、ベートーベンの銅像が動き回るなどとささやかれている。
ベートーベンとバッハは顔にインパクトがあったらしく、妖怪伝説を生みやすい。モーツァルトは夜中に目玉が動く程度であり、ショパンに至ってはあまり怪談で語られることはない。
それにしても、なぜバッハは謎をかけたのであろうか。小学生のイメージとしては、ベートーベンはどんな曲を作ったか、なんとなくイメージができるが、バッハはどんな曲を作ったのか思い浮かばないからかもしれない。












