オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第219回は「黒マント」だ。

 これは黒いマントに身を包んだ殺人鬼が姿を現し、次から次へと殺人事件を起こすという怖い都市伝説である。この妖怪のモデルは、実際にあった殺人事件の犯人がモデルになったといわれている。

 殺人事件に関するニュースが流れると、全国各地で「殺人鬼はうちの街にいた」「殺人鬼がうちの工場で働いていた」「以前、知り合った友人が殺人鬼だった」などの流言が飛び交ったのだ。そして、うわさが人の口から口へと伝えられるうちに「殺人鬼」が「黒マント」へと妖怪化していった。

 このように国民にトラウマを与えた犯罪が妖怪となることはしばしばあることである。

 例えば、江戸時代、放火を繰り返した八百屋お七は「飛縁魔」という女妖怪になっている。

 同じような事例は、昭和に入っても確認できる。戦争前に流行した「赤いマント」と同じ系列の都市伝説である「赤マント」は、学校のトイレに姿を現し、マントをなびかせながら、子供たちの血を吸う妖怪である。