オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第222回は「鳴き人形」だ。

 呪いに使われる人形である。呪う対象の人物の魂魄(こんぱく)を人形の中に閉じ込める。すると、人形の顔が対象者の顔と似てくる。さらに、毎晩のように人形の首を絞める。首を絞められた人形は絞められるたびに苦しみの声を上げる。こうして、人形の所有者は恨みを晴らすことができる。

 筆者のもとに情報提供してくれた投稿者によると、近所にある寺の住職が鳴き人形を持っていたという。住職は当時子供であった投稿者に、首を絞めるところを見せつけた。投稿者は、異常な行動に引いてしまったが、友人は住職が行う行動を注視していた。結果的に、住職が亡くなった後、人形をもらい受けた友人は、自分の父親の魂魄を人形に込めて呪った。

 人形に呪いを込めて呪術を行うという行為は、他にもいくつか確認されている。

 呪禁道にルーツを持つ「呪いの藁人形」は、その代表的な例である。これは、五徳を逆さまに頭にかぶり、ロウソクを立てて、鏡をぶら下げた呪い人が、神社境内で最も古い神木に人形を打ち付ける呪術である。

 他にも、人形を使う呪術といえば、西洋魔術のロウ人形を駆使する方法がある。これは、呪う相手に見立てたロウ人形を、呪いの呪文を口にしながら燃え盛る火にくべて燃やしてしまうものである。

 なお、筆者が聞いた話によると「身代わり人形」といって、自らの身代わりになる人形をバラバラにする儀式があると言われている。

 また、富山県と石川県の県境にある倶利伽羅峠(くりからとうげ)の地獄谷という場所では、「人形神(ひんながみ)」と呼ばれる人形が作られている。これは墓場の土を使った人形で、人の思いがこもっていると言われている。この人形と筆者はCSの番組「緊急検証シリーズ」で共演を果たしている。