トランプ大統領(78)が先日、イランに対し、核開発問題の交渉を呼び掛ける核合意の書簡を送ったと明かした。しかし、イランの最高指導者ハメネイ師(85)は8日に「脅迫国家の要求を受け入れない」と述べた。制裁を強化しているトランプ氏の〝イラン恐怖症〟を深めそうだ。

 ハメネイ師は8日、首都テヘランの最高指導者事務所での政府高官との会談で「一部の威圧的な国々は、問題を解決するためではなく、自らの要求を押し付けるために会談を主張している…。われわれは彼らの要求を決して受け入れない」と断言した。

 最高指導者ハメネイ師は絶対権限を持ち、イラン政府が米国と直接交渉するには、ハメネイ師の許可が必要となる。イラン政府は欧州連合(EU)などを通じて米国と間接交渉し、制裁解除を求めるとみられる。

 米国とイランは1979年の在テヘラン米大使館人質事件をきっかけに1980年に国交断絶。以降、米国はイランをテロ支援国家に指定した。核開発をめぐる対立や経済制裁など、ハメネイ師の対米不信は根強い。

イランの最高指導者・ハメネイ師(ロイター)
イランの最高指導者・ハメネイ師(ロイター)

 一方、トランプ氏はイランによる暗殺を恐れているという。

 トランプ氏は2月4日、記者団とのやり取りで、自分がイランから暗殺された場合について「すでに計画は決まっている。もし彼らが私を暗殺すれば、彼らは消滅し、何も残らないだろうという指示を残した」と語った。

 なぜ、ここまで具体的に言ったのか。米国事情通は「トランプ氏はイランからの暗殺未遂に遭っています。トランプ氏のイランへの恐怖は深刻だといわれています」と指摘する。

 米司法省は昨年11月、大統領選挙中のトランプ氏の暗殺計画に関与したとして、イラン在住のファルハド・シャケリ容疑者を起訴したと発表した。出国したため、逮捕できていない。

「第一次トランプ政権時の20年1月、トランプ氏の命令による空爆で、イスラム革命防衛隊(IRGC)の精鋭部隊『コッズ部隊』リーダーでイラン最高司令官ガーセム・ソレイマーニー氏を殺害しました。国家支援テロ首謀者であり、ハメネイ師に次ぐナンバー2といわれていました。それ以来、トランプ氏を標的にしましたが、21年の大統領選挙でトランプ氏は敗北しました」(同)

 24年の大統領選でトランプ氏が再出馬したことが、イランの復讐心に火を付けたようだ。トランプ氏は選挙演説で移動する際、プライベートジェット「トランプ・フォース・ワン」を利用していたが、常にイランに狙われる懸念が持たれたため、ダミーも飛ばしているほど、警戒していたという。

「イランとの関係はありませんでしたが、7月に耳を撃ち抜かれる暗殺未遂事件が起きました。その恐怖の中、IRGCがシャケリに対し、10月7日に暗殺するよう命令を出していたんです。シャケリはうまい計画を立てられず、中止となりました。しかし、米捜査当局の捜査で11月にこの暗殺未遂計画が明るみに出ました。IRGCはトランプが選挙で負けると踏んでおり、『選挙後に殺害する方が容易だから、暗殺計画を延期する』と命じていたことが分かったんです。トランプ氏は想像以上にイランの脅威を懸念しているといわれています」と同事情通。

 大統領任期中は警備に守られながらも常にイランの脅威を感じ、任期後は警備が薄くなるだけに、ますます恐怖を味わうことになるのかもしれない。