【ワッショイ!! スポーツ見聞録】今季から阪神の指揮を執る藤川球児監督(44)は一体、どんな野球を見せてくれるのか。現役時代に大ブレークした2005年の〝球児〟を取材した虎番記者としての考察を記させていただく。

 現在は沖縄での春季キャンプ中であり、公式戦での指揮経験はゼロ。つまり、何も始まってはいない。今だからこそ書ける「藤川野球像」とはどんなものなのか。

 藤川監督は1980年生まれの「松坂世代」。元西武の松坂大輔氏をはじめ名選手ぞろいの学年だ。その中にあってNPBの監督は2人目(1人目は18年から2年間、楽天を指揮した平石監督)。日米通算245セーブ、164ホールドを評価され特例で名球会入りを承認された55年会唯一の会員だ。

 特に藤川監督は現役時代から松坂大輔氏(44)との関係が深い。松坂氏が中日に在籍した18、19年の頃は春季キャンプ中、これでもかと会食を重ね野球論を語り合った。阪神と中日の宿舎が近いことも幸いし「あんなにじっくり話せたことは、それまでなかったからね」(藤川監督の当時談)というほどだ。

 2人の共通点はNPBの野球とMLBのベースボールを両方経験しているところ。そして、その2つは似て非なるものという考え方を持つことだ。NPBでの勝ち方とMLBでの勝ち方は異なる。勝利へのアプローチ、個々の果たすべき役割も当然、違ってくる。

 例えば近年よく使われるクオリティースタート(QS)という言葉。先発投手が6イニング以上を投げて自責点3点以内に抑えた試合を指すのだが、これをNPBで好投と捉えられるだろうか。仮に先発ローテを守り続け6回3失点を繰り返したところで防御率は4・5。メジャーでは「good job」かもしれないがNPBでは微妙だろう。

 松坂氏は以前から若い世代に「『試合を作った』で満足してほしくない」と話していた。藤川監督も近年、流行したメジャー流のアッパー気味スイングに関して「NPBでやると数字が落ちるよ」と警鐘を鳴らしていた。だが、両人ともMLBを否定してはいない。違いを理解してプレーすることが重要だと考えているのだ。

 球界を席巻した「松坂世代」を代表するクローザー・藤川監督はNPBに新たな風を吹き込むのか。その手腕を目にする時を楽しみにしている。