レジェンドが〝限界論〟を吹き飛ばした。J1C大阪のMF香川真司(35)が、14日に行われたG大阪との明治安田J1リーグ開幕戦(パナスタ)で1ゴール、1アシストをマーク。5―2の大勝に大きく貢献した。欧州の名門を渡り歩き、日本代表では栄光の10番を長年背負った香川だが、Jリーグに復帰して2年目の昨季は負傷などもあり低迷。周囲からは厳しい評価もささやかれた。しかし、それを発奮材料にして見事な復活劇を演じてみせた。

 意地がぶつかり合う大阪ダービーで香川が躍動した。0―0の前半7分、FW北野颯太(20)の先制点をお膳立てすると、真骨頂は2―1の後半7分。ゴール前でシュートのこぼれ球を拾うと、GKの動きを冷静に見極めて左隅へと突き刺した。香川にとって、うれしい大阪ダービー初ゴールだ。

 この日の香川は、まさに〝王様〟だった。ゴールやアシスト以外にも、心臓部に位置する守備的MF(ボランチ)として試合をつかさどり、攻守にわたってピッチを支配。チームメートへ積極的に指示を出すなどリーダーシップも発揮した。

 香川は自身の得点を振り返り「ゴール前に入っていかないと何も生まれないし、ああいうところで結果を残してきた自負がある」と胸を張った。

 ドイツ1部ドルトムントやイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドなど欧州屈指の名門でプレーしてきた香川は、2023年に古巣へ復帰。1年目こそリーグ戦34試合に出場したが、昨季は左ヒジの脱臼などもあり、わずか10試合の出場にとどまって1得点と振るわなかった。

 かつてのパフォーマンスとは程遠い内容に〝限界論〟もささやかれるようになった。実際、ある日本代表OBは今季開幕前に「去年もあまりプレーできていなかったし、香川は厳しいんじゃないか。周りに聞いてみても、そういう評価を聞くことがあった」と懐疑的な見方を示していた。

 そういった評価は香川自身の耳にも入っていたようだ。「今年どれだけ自分がやれるか、個人としては大きな自信はあるけど、やっぱり去年は苦しいところがあった。みんなそういう〝疑いの目〟を持つだろうし、それは結果であったり、パフォーマンスではねのけていくしかない。そういう意味では、いいスタートを切れて本当によかった」

 もちろん、数々の修羅場をくぐり抜けてきた男は、1試合だけのパフォーマンスで満足するはずがない。「これから厳しい戦いが続くと思っている。チームの完成度は、まだまだ。もっと高みを目指していけると思う。これに満足することなく、このダービーに勝てたのは非常に大きいけど、次の試合に向けて練習から、しっかり取り組んでいきたい」

 来月17日に36歳の誕生日を迎えるが、衰えを感じさせないこの日のパフォーマンス。レジェンドが完全復活を果たした先に、C大阪にとって悲願のJ1優勝が見えてくる。