【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#596】世界の神話の中で稲妻や雷にまつわる神といえば、日本の雷神をはじめとして、帝釈天とも称されるヒンズー教の神であるインドラなどがあり、ギリシャ神話における全知全能の神と言われるゼウスも、宇宙や天候を操る天空神として雷を武器にすることで知られる。
中国神話・道教では、雷を司る神として雷公がおり、そしてその妻である「電母」も雷の女神として伝わっている。電母は、「閃電娘娘」(せんでんにゃんにゃん)とも呼ばれており、雷公と共同で雲を起こし、雨を降らせる役目を担っているという。両手に持つ2枚の鏡からは光が発せられており、この光を交差させることで雷光を発生させると言われている。夫婦げんかの際には、より強烈な雷鳴が轟(とどろ)くという話もあるそうだ。
伝説上で語られる神の姿を、実際に目撃したという証言は現代でもいくつか例がある。ユーチューブチャンネル「アトラスラジオ」でも、以前に雷神や風神を実際に目撃したことがあるという視聴者の投稿があった。残念ながら、多くは体験にとどまっており、写真や映像などに記録されて残っているというケースは非常に少ない。そんな中で、電母を収めたものではないかとする映像が存在するのだ。
問題の映像は、メディアチャンネル「北京時間官方頻道――Beijing Time Official Channel」が初出だと思われる。2017年9月14日、中国の上海に建つテレビ塔「東方明珠電視塔(オリエンタル・パール・タワー)」付近にあるビルのそばの上空に奇妙な人型のような存在が浮遊しているのが映像にとらえられたというのだ。
映像は、雷鳴が轟く荒天の中撮影されているようだが、カメラがそれを捉えてズームした直後、なんと左右2方向からの稲光に打たれ、その後さらに数発の稲光に包まれた途端、人型はこつ然と姿を消してしまうのである。
何者かが雷に打たれている様子ではないか、もしくは雷のエネルギーを取り込んでいるエイリアンだったのではないか、など、さまざまな意見がなされたが、これこそが雷をつかさどる中国神話の神・電母をとらえたものであるとの意見もあったようである。
だが、本当にこの映像が電母をとらえた映像であるか否かについては、当然ながら慎重にならざるを得ないだろう。疑問視する意見の中には、何らかの宣伝のために浮かべられた人型の凧なのではないかとするものや、そもそも単に発信メディアが注目を集めるために作り上げたCGによるフェイク映像ではないかとするものもある。結果として、その真偽は不明なままとなっている。
伝承によると、電母は善の神としても描かれており、左右それぞれの鏡は、一方が罪人の場所を照らす白い光、もう一方は人間に化けた獣を暴く赤い光となっているという。もしかすると、不満や腐敗がまん延する世をただすべく印として、現れ出た電母の姿だったのかもしれない。
【参考記事】
https://baike.baidu.com/item/%E7%94%B5%E6%AF%8D/66610
【参考動画】
https://www.youtube.com/watch?v=27yx0WFhJ9Y












