【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#595】妖精は世界各地で伝承されている存在である。日本においては、妖怪の「座敷童(わらし)」やアイヌの「コロポックル」、現代妖怪として知られる「小さいおじさん」などが、妖精として捉えられていることもある。ファンタジー作品において小悪党のような振る舞いをする「ゴブリン」も妖精の一種として伝わっており、一口に妖精といっても地域によってその性質や名前は千差万別となっている。

 スペインやポルトガルに位置するイベリア半島では「ドゥエンデ」と呼ばれる妖精の伝承が残されている。スペイン語で「家の主人」を意味するというこの妖精は、ゴブリンの仲間とされているイタズラ好きの妖精であり、スウェーデンに伝わる妖精の「トムテ」と同じ起源のものではないかとも考えられている。

 ドゥエンデも本来は欧州の一部地域限定で伝わっていた存在であったが、大航海時代以降、スペインが植民地としていたフィリピンや中南米諸国にもスペインの文化や伝承が伝搬されていくようになり、現地における精霊信仰と融合する形で、独自のドゥエンデ伝説が形成されていくようになった。

 そのような歴史的経過を持っているドゥエンデが、最近になって幾度か目撃が報告されているのだという。

 2023年12月24日、世間ではクリスマスイブとして盛り上がっているであろうこの日の夜、アルゼンチンのとある家庭の防犯カメラに奇妙なものが映り込んだとして話題となった。

 問題の映像は、飼い犬がけたたましく吠えるその先の庭を、前かがみのような姿勢のまま猛スピードで駆け抜けていく人影のようなものが横切っている。映像では姿をハッキリ捉えることはできなかったものの、センサーが感知したのか、直後に人影が走っていく方向へカメラが向きを変えたため、正体は不明ながら何かしらの存在がその場に居たことは確かであると、瞬く間にネットで物議を醸した。

 こうした中で、一説として浮上したのが、ドゥエンデだったのではないかという意見であったが、当然ながらこの映像自体に懐疑的な考えを持つユーザーも多く、結局のところは謎のままに終わってしまった。

 年が明けて2024年の2月。再びアルゼンチンにおいて、とある女性が散歩中、小人のような謎の存在に遭遇したと証言する動画が話題となった。残念ながら遭遇時に映像は撮影できなかったようであるが、当人であるビッキー・ナウタさんによると、散歩中に突然、小柄で髪が白く、ひげを生やした存在が隣に現れたというのだ。彼女はこの存在を伝承に伝わるドゥエンデと確信し、おそらく遊び心で自分に近づいてきたのだろうと考えているそうだ。

 ちなみに、同年5月半ばには、木の幹の中からカメラの方を向く小人のような存在を捉えた動画がTikTokに投稿されて話題となった。生配信中の撮影ということもあり、1500万回という驚異的な再生回数を記録したものの、撮影場所は不明であり、生放送を装ったフェイクにすぎないとする反応も根強い。この小人についても、一部ではドゥエンデではないかと考えられていたようである。

 時期を近くしてアルゼンチンという地でドゥエンデの出現を思わせる2件もの出来事が発生したというのは、果たして偶然なのだろうか。

【参考記事】
https://mnsatlas.com/?p=46262
https://mnsatlas.com/?p=53223
https://mnsatlas.com/?p=50317