【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#587】多種多様なタイプの存在するUMAには、巨大生物としてくくられるものも珍しくはない。コンゴ共和国の大ワニ「マハンバ」や日本の摩周湖の「巨大ザリガニ」など、通常のサイズとは比べ物にならないほどの大きさを誇るという生物がよく報告されている。しかし、UMA史上最も巨大と言われている生物のその規格は、あまりにも桁違いである。

 1997年、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の音響監視システムが南米チリ西方1750キロメートルの沖合で、海底の地震活動断層の調査をしていた。その際、水深4000メートルの海底で、謎の異音が鳴り響いているのを水中聴音装置が感知した。

 この音は超低周波を含み、かつ人間の耳では到底聞き取れるものではない音であるものの、500キロメートルも離れた監査システムに録音されたことから、音自体は非常に広範囲へ強く響き渡っていた。

 この謎の音は通称「ブループ(Bloop)」と呼ばれているが、その発生源が周辺の船舶などのものなのか、断層由来、あるいは海底火山によるものなのか、全くその原因は分かっていなかった。

 ただ、もう一つの説として生物が発している音ではないかという意見もあった。異音の中に、生物が息継ぎをする際に発せられるような音も含まれていたとの指摘もあった。実際、この異音はシロナガスクジラの発する鳴き声と似ているのではないかとの声もあったのだ。

 ある仮説によると、シロナガスクジラと同様の能力を有しているとすれば、その大きさはシロナガスクジラ(30メートル弱)の数倍、一説には200メートルを超える体長を誇るものと推測されるという。そこから、ブループとは海底の異音だけではなく、それを発する未知の海洋巨大生物を指す名称にもなっている。

 しかしながら、生物のサイズが音の大きさと必ずしも比例しているとは言えない。北米の東海岸に生息するピストルシュリンプ(テッポウエビ)は、わずか5センチほどの体長でありながら、そのハサミを100分1秒という速さで閉じることができるのだが、その衝撃波ゆえに周辺の水分が蒸発し、またその音はジェットエンジン並みの音量のため1・6キロ離れた場所でも聞こえるという。

 そして、実はこのブループについてはその正体が近年になって判明していた。発生源は、南極大陸の氷河の動きや氷で海底がえぐられた際に生じる非地殻変動であることが2023年に確認されたのだ。つまり、超巨大生物であるとされたブループの正体は、氷震(氷河性地震)であったというわけだ。

 正体が明らかになってしまうと少々残念な思いもあるが、近年ではマリアナ海溝の深海でキャッチされた異音について、ニタリクジラという種類のクジラの発していたものであることもAI分析によって判明したことで話題となった。

 とはいえ、海底にまつわる異音はこの他にも数種類確認されており、その正体が判明していないものもたくさんあるのだ。何よりも、そのほとんどがいまだに解明がなされていない海という空間であるからこそ、まだ人類が見たこともない巨大生物が潜んでいるとしても、何ら不思議ではない。

【参考記事】
史上最大の大きさを誇るUMAブループ
https://chahoo.jp/bloop/
Bloop
https://cryptidz.fandom.com/wiki/Bloop