各地で梅雨の気配が立ち込め、天気予報を見るたび気分が落ち込む今日この頃。そんなしばらくは祝日もやって来ない日々を、話題の漫画とともに乗り越えるのはいかがだろうか? 今回はスクウェア・エニックスの編集者に、若い世代との話の種になる「読んでいると一目置かれる漫画」を5作品選んでもらったぞ。

「黄泉のツガイ」(著・荒川弘/既刊7巻)

「黄泉のツガイ」(著・荒川弘)
「黄泉のツガイ」(著・荒川弘)

「鋼の錬金術師」の荒川弘先生が手がける、バトルアクション漫画です。隔絶された村で暮らしていた主人公・ユルが、「ツガイ」という1対の超常的な存在に出会うところから始まり、主人公の隠された力を狙う人々とのバトルや両親を探す旅を中心とした作品となっています。

 少年漫画ではありますが、これまでの荒川先生の作品に触れたことのある方も含めて幅広い世代から支持をいただいています。また、意欲作が多くノミネートされる「マンガ大賞2024」でも2位を獲得しまして、コアな漫画ファンの方に楽しんでいただいていることも特色ですね。

 内容の面では、登場人物と契約したツガイが繰り広げる「スリーマンセルバトル」はもちろん、〝家族愛〟が描かれている点には注目していただきたいです。主人公ユルと妹・アサの兄妹愛の他にも、さまざまな家族の絆が描かれている点が魅力です。加えて作中の大人たちが、しっかりとした価値観を持って若い主人公を支えている部分も、親世代の読者に刺さるのではないでしょうか。

「黄泉のツガイ」ⒸHiromu Arakawa/SQUARE ENIX
「黄泉のツガイ」ⒸHiromu Arakawa/SQUARE ENIX

 そして読者の方からは、先の読めない展開についてご好評をいただいています。特に驚きの詰まった第1話には多くの反応がありました。最近は作品が完結してから読むという方も多いですが、どうなるのか分からないまま読むのも漫画の醍醐味。その意味でこの作品は「追う面白さが世界一ある漫画」だと思っていますので、ぜひリアルタイムで楽しんでいただきたいです。(担当編集者・談)

「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」(著・中吉虎吉/既刊6巻)

「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」(著・中吉虎吉)
「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」(著・中吉虎吉)

 戦隊ヒーローの〝レッド〟として活動していた主人公・浅垣灯悟が、異世界へと転生してしまう所から始まる物語です。灯悟が異世界でも困っている人々のために動き、冒険者として活躍する内容が話題を集めています。

 読者層としては20代~40代の男性が多く、戦隊ヒーローファンの方にも届いている印象がありますね。中吉先生ご自身が、番組を毎週視聴している程の戦隊ファンということもあって、好きな方にはたまらない描写がたくさん詰まっていますよ。

 そして設定のハチャメチャさは大きな魅力ではないでしょうか。ファンタジー世界に突如合体ロボが登場する、そんな展開のギャップは唯一無二の部分だと思います。当のロボットも「ここまで頑張らなくても…!」という程の驚異の描き込みをされていて、戦隊シリーズを少しでも通ってきた方は心が踊るはずです。

「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」ⒸKoyoshi Nakayoshi/SQUARE ENIX
「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」ⒸKoyoshi Nakayoshi/SQUARE ENIX

 また、レッドが非常に〝熱い男〟ということもあって、バトルシーンは熱量たっぷり。特撮世界のレッドとファンタジー世界の勇者の対決・共闘は必見です。もちろん仲間との絆もしっかり描写されていて、王道の少年漫画・バトル漫画として楽しめることも保証できます。個人的にはヒロインの魔導士・イドラと灯悟が繰り広げる、甘酸っぱい関係性に注目していただきたいですね。

 コメディー要素も含んでいますので、疲れずに読み進められる点も特徴のこの作品。これまで異世界漫画に触れてこなかった方にもオススメです!(担当編集者・談)

「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」(著・地主/既刊4巻)

「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」(著・地主)
「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」(著・地主)

 人は良いけれどうだつの上がらない中年男性・佐々木と、接客態度は良いけれどオンオフがはっきりした女性店員・山田という年の離れた2人が、スーパー裏の喫煙スペースでささやかな交流を続けるヒューマンドラマ作品になっています。もともとはSNSで発信していましたが、連載に移行した現在は登場人物たちと同じく社会人である、30代~40代の方に多く読まれている印象です。雑誌連載に移行した2巻からは、2人や周囲の人物の関係性をじっくり掘り下げる展開も増えていきますので、作品としての深みも楽しんでいただきたいです。

 何と言っても白黒をはっきりと付けない関係性の上で、ゆっくりと進んでいく奥行きのあるストーリーや、丁寧に作り込まれたキャラクター造形がこの漫画の大きな魅力ではないでしょうか。ミニマムな空間で交わされるやりとりには、どんな世代の方にとっても共感できる部分が見つかるはずです。地主先生が描く魅力的な人物たちにも注目しながら、いろいろな解釈で楽しんでいただければと思います。

「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」ⒸJinushi/SQUARE ENIX
「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」ⒸJinushi/SQUARE ENIX

 また近年少しずつ姿を消しつつある喫煙スペースは、若い世代の方にはどこかノスタルジックに感じられるようですね。そんな郷愁をそそる舞台と、会話が作り出すリアルな質感のコンビネーションも必見ですよ。

 実際に喫煙者の方からは、「つい吸いたくなる魔力がある」という感想をいただくこともありますね。タバコを接点とした人々が織りなす〝夜話〟は、静かな夜の読書に持ってこいです。(担当編集者・談)