世界最高峰の立ち技打撃プラットフォーム「Kー1」を主催するM―1スポーツメディアの社長に昨年、就任したのが大木知葉さんだ。格闘技業界では珍しい女性社長で、業界に君臨する歴戦の〝猛者〟と渡り歩く一方、小学6年の子供を育てる母親でもある。これから世界へ羽ばたいていくKー1の未来を語った。

 昨年4月に社長に就任した大木さんはもともとスポーツ新聞社で格闘技を取材する側だった。「取材をしていく中で、格闘技に魅了され、格闘技の世界で働きたいと思いだした」と、働いていたスポーツ新聞社を辞めて、総合格闘技「PRIDE」を運営するドリームステージエンターテインメントに転職する。

 その後、スポーツ新聞社に復帰するが、格闘技イベント「Krush」のプロデューサーから「お手伝いをお願いされた」ことから12年ほど前に、M―1スポーツメディアに就職。このM―1スポーツメディアが2014年から新生K―1の運営することになった。

 2014年に新生Kー1が旗揚げし、「そのころは広報などをやっていた」という大木さん。2022年には〝世紀の一戦〟といわれた那須川天心 vs 武尊戦が行われた。東京ドームは5万6000人の超満員で「この大会が新生『Kー1』の一つの区切りになったと思う」という。

「一つの区切り」を通過した新生Kー1を新たな世界へ導くという宿命を帯びて社長に就任した。「昨年の7月にこれからKー1をどうしていくのかという記者会見を開いたときに、初めて社長として会見に出たのですが、一緒に取材をしていた方からは、相当、驚かれましたね」と振り返った。

 現在は社長として企業を相手にすることも多い。「Kー1の社長というとガタイのいい男性を想像されるようで、私だと分かると驚かれますが、そのギャップで、いい方向に話が進むときも多いです」

 さらに「格闘技業界で女性社長は珍しいのか、ありがたいことにさまざまなメディアの取材依頼をいただいています。この間もラジオの生放送に出演させていただきました」という。

 そんな大木さんは小学校6年生の子を持つ母親でもある。社長という多忙な身であるため「葛藤」も多い。「家族にも会社にも助けられながらなんとかやれていますが、葛藤の連続です。夜遅くまで仕事が続くこともあり、子供と接する時間が少なくなることもあるので、本当に仕事も母親も両立できているのかなと、不安になることもあります」という。

 それでも「働いているお母さんは、みんな同じようなものを抱えて仕事しているんだろうなとは思っています」。自分が前に出ることによって「女性もそうですが、それこそお母さんたちにK―1の面白さを知ってもらえたらなとは思いますね」。

 2022年の那須川天心 vs 武尊戦が新生Kー1にとって第1章と言うならば、第2章のスタートは3月20日に開催される「Kー1 WORLD MAX 2024」だ。70キロ級トーナメントが行われ、12か国から16人の選手が集まる。「初来日の選手もいますし、日本で知られていない選手もいます。この中からかつてのアンディ・フグやピーター・アーツのような次のスター選手候補も出てくるでしょうし、育てていきたいとは思っています」

 さらに今年は米国ニューヨークをはじめ4か国で「Kー1 WORLD GRAND PRIXシリーズ」を開催する。「新生『Kー1』で初の海外進出なので、まずは成功させたいです。『100年続くKー1』というものをスローガンに掲げています。一時的なブームで終わるのではなく、スタイルとして確立させていきたいですね」。

 女性社長の挑戦は始まったばかりだ。