3月に公表される予定の飲酒ガイドライン。酒飲みの間では、「令和の禁酒法」とも呼ばれているが、決して禁酒を推奨するためのものではない。じっくり読むと、「今よりも酒量を減らして、健康を保ちながら“適量”を楽しみましょう」ということが主旨だとわかる。ガイドラインに酒量は純アルコール量に換算して、1日あたり「男性40g以上、女性20g以上」になると生活習慣病を高めるリスクと明記。40gと言えば日本酒なら2合なので、酒飲みからすると「そんなちょっとじゃ飲まないほうがマシ」と思ってしまう。しかし、世界水準から見ると、この量は決して少なくないのだ。

 飲酒ガイドラインに表記された国の中で、最も飲酒量が少ないのはカナダの26g(13g)。しかもこの量、1日ではなく「週単位」なのである。まさにネコのように舐めるようにして酒を飲まないと、容易に超えてしまう。逆に一番多いのはアイルランドの170gだが、これもまた週単位なので日本と比較すると110gも少ない。そう、日本は酒に寛容な国なのだ。

 甘いのは飲酒量に限ったことではない。日本は公園や路上など公共の場で飲んでも叱られないが、アメリカでは原則ご法度。私たち夫婦はそれを知らず、ハワイのビーチで缶ビールを飲もうとして、監視員に注意されたことがある(恥)。またタイでは禁酒日があるし、スーパーやコンビニなどで酒を販売する時間が決まっている。さらにイギリスでも飲酒ガイドラインを改定し、飲酒量を112g(週)としたし、各国とも減酒傾向にある。

 ただここで注目すべきは、飲酒ガイドラインにしれっと書かれた「飲酒量は少ないほどいい」という1文。思い切り読み飛ばしていたが、策定に携わった専門家によると、実はここが一番訴えたいところらしい。確かに2018年、イギリスの権威ある医学雑誌『ランセット』でも、「酒は少量でもリスクがある」と発表したし。とはいえ、あまり気にし過ぎず、意識するだけで飲み方は変わるので、私としてはその程度で十分だと思う。