飲めや食えやの正月、酒好きの皆さまはどう過ごされただろうか? 私はと言うと、夫の実家で義母が用意したお節とお屠蘇でグダグダするという、ダメ嫁っぷりを発揮していた。

 さて、お屠蘇と言えば、ちょっと驚いたことがある。それは20代の若者がお屠蘇を知らなかったことだ。お屠蘇は山椒や陳皮など薬効のある植物を、みりんや日本酒に混ぜたもの。正月前になるとスーパーやドラッグストアなどで、日本酒やみりんに入れれば即、お屠蘇ができる「屠蘇散」なるものも見かける。ネットを見ると「高野山の開運お屠蘇」や、金箔付きのものまである。お屠蘇は甘い薬酒のようで、お世辞にもおいしいとは言えないが、無病息災や長寿を願って頂く縁起物なので、我が家では欠かせないものとなっている。

 若者たちに「正月に何を飲むの?」と聞くと、「フルーツ味のサワー、レモンサワー、ジンソーダ、ハイボール」という答えが返ってきた。甘くて口当たりがよくて飲みやすく、酔い覚めがいいのが好評で、入手しやすいことも良いらしい。「正月の幕開けはお屠蘇一択」と思うのは、もはや古いようだ。

 しかし、「甘くて口当たりがいい」と言うのはちょっと危険。度数が高いのに、つい飲み過ぎてしまうからだ。例えばストロング系と言われるサワーのアルコール度数は9%。ロング缶を純アルコール量に換算すると、500ml×0・09×0・8=36gと結構な数値になる。2本も飲めば、先日紹介した「飲酒ガイドライン」の適量(男性40g女性20g)を軽く超えてしまうのだ。ストロング系に関しては、かねてドクターも注意を促しており、それを受け、生産を中止した沖縄のメーカーもあるほど。甘いからとて、「飲み始めたばかりの若者が飲む入口的なお酒」と考えるのは、健康面を考えるとかなりリスクが高い。

 時代とともにお屠蘇をはじめとする伝統的なものはすたれつつあるが、未来を担う若者にこそ、酒を通じて日本の伝統文化を体感して欲しい。