ラムコーク。それは私にとって、バブル時代を彷彿とさせるカクテル。横浜のバーでバイトしていた大学の先輩から教えてもらったのを機に、アホの一つ覚えでラムコークばかり飲んでいた。

 ラムコークと言えば、ここ最近ラム酒が密かに人気の兆しだ。それも国内産のラム酒が。国内産のラム酒というと原材料のサトウキビが採れる奄美大島や徳之島が浮かぶが、注目したいのは、古都・京都で造られるラム酒、『輪廻』(税込み3740円=京都市左京区・松井酒造)である。

 特筆すべきはその原材料。糖蜜に加え、惜しげもなく和三盆をたっぷりと使っているのだ。和三盆と言えば、高級和菓子にも使われる稀少な国内産の砂糖。その贅沢な和三盆の特徴とも言える丸みのある甘味が実に新鮮。度数の高さ(43度)を感じさせないシルキーな飲み口にうっとりしてしまう。発酵過程を重要視する日本酒蔵なだけに、蒸留酒の完成度も半端ない。

「輪廻」のラベル
「輪廻」のラベル

 ストレートでもいいが、ここはやっぱりラムコークにして飲んでみたい。そんな話を15代目蔵元の松井治右衛門さんに伝えると、何と『輪廻』の発売に合わせ、自社でクラフトコーラも作っているという。残念ながら取材時は「クラフトコーラは現在、鋭意製作中」とのことで、ラム酒だけでガマンした。国内産ラム酒は京都の他、沖縄、鹿児島、東京(小笠原)、滋賀でも造られている。ジンに並び、日本のスピリッツ市場を熱くしてくれそうだ。

テイスティングルームもある松井酒造
テイスティングルームもある松井酒造

 さて、そんな魅力たっぷりのラム酒には、ビタミンCの欠乏によって起こる壊血病の治療に使われた歴史がある。16~18世紀の大航海時代、船乗りの多くは壊血病にかかり、歯茎の出血や倦怠感に悩まされていた。当時はエビデンスこそなかったが、ドクターによりビタミンCを多く含む柑橘系の摂取が奨励。その後、英国軍ではラム酒にライムを入れて飲むようになり、壊血病の発症が改善されたという。壊血病は今でこそほぼ聞かなくなった病気だが、ラム酒で予防した時代があったなんて、ちょっとうらやましい。