レスリング女子の尾崎野乃香(20=慶大)は、〝食事革命〟で夢舞台への切符をつかんだ。

 尾崎は、パリ五輪女子68キロ級代表決定プレーオフ(27日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンター)で石井亜海(育英大)に5―4で競り勝ち、初の五輪代表を勝ち取った。残り9秒89の時点ではリードを許しており、土壇場からの大逆転劇に「不安な気持ちを持たずに、積極的にやるしかないと思ってやれたのがよかった」と声を弾ませた。

 これまでは62キロ級を主戦場としていたが、昨年6月の明治杯全日本選抜選手権の準々決勝で敗れたことで、同級のパリ五輪出場が絶望的となった。その他の階級も出場選手が続々と決まる中、唯一決まっていなかった68キロ級への挑戦を決断した。 

 昨年7月から尾崎を指導している栗森幸次郎コーチ(32)は、階級変更での最大の苦労を「食事面の改善」だと明かした。「最初のころはその日に何を食べたかを写真に撮ってメールで送ってもらって、丁寧に確認していた。(尾崎は)どちらかというと少食で食べる量を大きく増やすのが難しかったので、炭水化物も含めた1日の食事の回数を5回、6回と増やすことで対応していった」と振り返った。

 ときには練習をセーブしてでも〝食トレ〟に励んだ。「体に疲労がある時は、マットでのトレーニングをやらなくてもいいくらいのイメージでやっていた。午後に練習のない時は、そこで一気に食事の量を増やして体の維持に努めていた」。練習と食事のバランス調整を重ね、武器のスピードを落とすことなく肉体改造を成功させた。

 パリ五輪までは残り約半年。「大きく変える必要はないが、もう少し体を大きくしないといけない。伸びしろは十分にあるので、いい戦いができると思う」と大きな期待を寄せた。尾崎本人は「68キロ級は金メダルが難しいと言われているかもしれないが、私は金メダルを本当に狙っている。私ならできると心の底から思う」と宣言してみせた。