【1・5時間博物館 消防博物館】子供や孫と一緒に、気軽に1・5時間で楽しむことができる博物館を紹介する企画。今回、ご紹介するのは「消防博物館」です。東京・四谷(新宿区)にあるこちらの博物館では、東京消防庁が管轄する消防の歴史や仕組みについて学ぶことができますよ。

 訪問してまず驚いたのは、博物館が四谷消防署に併設する形で開館されていること。博物館の横から消防車が出動しているという事実だけでも、何だか不思議な感覚になりますね…。

 消防博物館は1992年に開館した博物館で、正式名称は「東京消防庁 消防防災資料センター」といいます。教育の他にも消防全体の広報を目的に開館した施設で、何といっても未就学児を持つ家族から圧倒的な支持を集めているとのこと。授乳室や休憩スペースもあるというとにかく〝親子にやさしい施設〟なのですが、ちびっ子たちの心をわしづかみにする理由については後ほど紹介させていただきますね。また、開館日は午後1時45分からは定時のガイドツアーを開催中。膨大な資料がある施設ですから、まずは案内を受けてから回ってみるのも良さそうです。

屋上に消防ヘリ!詳しくは本文後半で(消防博物館提供)
屋上に消防ヘリ!詳しくは本文後半で(消防博物館提供)

 では、大人が楽しめる部分からご紹介しましょう。時代劇が好きな祖父母世代や、救急救命のドラマをつい見てしまうという親世代には、4階・5階の消防がこれまで歩んできた歴史を紹介する展示がオススメです。

 特に5階の「消防の夜明け」では、江戸時代の貴重な資料が数多く展示中。町火消が活躍していた時代の消防を詳しく学ぶことができますよ。

 中でも圧巻なのは時代劇でもしばしば登場する纏(まとい)が勢ぞろいしているブースです。纏を目立たせる標識部分「陀志(だし)」には各地域でさかんだった産業をモチーフにした細工が施されていて、どれも現代で通用する洗練されたデザインばかり。歴史には疎いという方も、視覚的に楽しめるのではないでしょうか。

江戸中の纏が大集合
江戸中の纏が大集合

 ちなみに纏は1本あたりの重量が約20キロ。そのため火災現場で大きく振りかざすことはなかったといいます。時代劇のような大胆な取り回しは、実際の屋根の上では行われていなかったようですね。

 4階の展示では、明治時代以降の消防の変遷が解説されています。ポンプ車が馬に引かれていたり、町角に設置されていた火災報知器が展示されていたりと、現代とは異なる消防様式の数々が興味をそそります。

 明治期から現在の防火服が時系列順に並べられているのも見どころの1つ。それぞれの時代の人々が果敢に炎に立ち向かった姿が想像されて、改めて消火活動にあたっている隊員の方々に感謝しなければいけないなと感じました。

防火服も大きく変化しました
防火服も大きく変化しました

 さて、お待たせしました、ここからはお子さんが盛り上がる展示に触れていきます。何と言っても一番刺さるのは〝乗り物〟の数々でしょう。

1階に展示されている実物の消防ヘリ
1階に展示されている実物の消防ヘリ

 高層ビルへの対応や、島しょ地域からの救急搬送等の目的で昭和42年から都に導入された消防ヘリコプターは、1階、3階、5階に1機ずつ展示中。休日には1時間待ちの行列ができることもあるというから驚きです。5階の屋外に設置されたヘリは、なんと新宿通りを通行止めにしてクレーンで持ち上げたとのこと。来館者の方々に本物のヘリを見てもらいたいという博物館側の熱意を感じますね…。

 また地下1階には大正時代から平成の時代に活躍した消防自動車が立ち並んでいます。大正末期から昭和初期に活躍した木製のはしごを乗せたはしご車や、まだ救急隊員が同乗していなかった頃の救急車、東京大空襲の中をくぐり抜けた外国製の消防車等、濃密な歴史を感じられる空間は、大人でもテンションが上がるはず。何より消防自動車に興味があるお子さんにとってはかけがえのない体験となることでしょうね。

消防自動車は迫力も満点
消防自動車は迫力も満点

 そしてこちらの地下車両も、併設されたエレベーターを使って1台ずつ搬入したのだとか。そのおかげで各時代の消防自動車を見学できる、世にも珍しい展示が広がっているんですね。余談ですが地下1階にはミュージアムショップも併設されています。博物館ならではの記念品や、消防・救急車両のミニカーも購入できますよ。

 消防博物館は大人も子どもも楽しめる、ボリューム・ジャンルともにたっぷりの博物館でした。歴史資料も含めてとにかく実物が多く、分かりやすい迫力やリアリティーがありますので、家族で訪れる「初めての博物館」としてもオススメです。奥深い消防の世界、ぜひご家族で体感してみてくださいね。

こちらは破壊消防の様子。昔は建物を壊して延焼を防いでいた
こちらは破壊消防の様子。昔は建物を壊して延焼を防いでいた

【消防博物館】東京都新宿区四谷3丁目10番。「四谷三丁目」駅2番出口からすぐ。開館時間は9時半~17時で、入館料は無料。休館日は毎週月曜日、年末年始。

 公式HPは【https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-hkkan/museum.html】。