【1・5時間博物館・明治大学博物館】大きな博物館だと見学時間の長さや入館料・グッズのお値段にぐったりしてしまうことがありますが、その点でも安心なアクセス抜群の博物館をご紹介。「秋の〝1・5時間博物館〟特集」として、初の大学博物館である「明治大学博物館」を取材してきました。大人に向けた展示も多く、時代劇で見かける捕り物道具や驚きの拷問具など、興味を引くものがズラリ。少し成長した子供や孫と一緒に、「学び直し」を楽しんでみてはいかがでしょうか?

 こちらの博物館の特徴は、3つの学部に由来する施設が統合されていること。現在も商品部門(商学部)・刑事部門(法学部)・考古部門(文学部)の展示コーナーがはっきりと分かれており、それぞれ個性豊かな展示が展開されています。

 まず商品部門では、日本の伝統的な手工芸品のコレクションを見学することができます。漆器や陶磁器、竹木工品に染織品と、様々な工芸品が展示されており、特筆すべきはそれらの〝工程〟が順序だてて紹介されていることです。

 例えば陶磁器であれば、一度下絵を描いてから本焼成を行い、再度上絵を描くといった流れがありますが…。明治大学博物館では〝各段階まで加工した状態〟の陶磁器を並べて展示しているため、どのように出来上がっていくのかが一目で分かるのです。

伝統的工芸品が完成するまでを段階的に見学できる
伝統的工芸品が完成するまでを段階的に見学できる

 他にも包丁が鍛えられるまで、竹細工が編み込まれるまで、といったように、日本の伝統技術をパラパラ漫画を見る感覚で学ぶことができますよ。

 さらに細かい部分ではありますが、工芸品の実用性を感じ取ることができる点も魅力的です。美術館では品物の美しさに焦点が当てられますが、ここでは「どのように使われてきたか」「どう売られてきたか」が重視されているのです。そのため日用品と呼べるものや、現代のニーズに合わせた新たな商品も展示中。商学部に由来する展示ならではの視点をじっくり楽しんでみましょう。

竹細工が組み上がる様子もダイナミックだ
竹細工が組み上がる様子もダイナミックだ

 次は刑事部門を紹介します。法学部の内容に相当する展示スペースで、昔の人々がどのような法律の下で刑罰を受けていたのかを展示中。過去の法を知ることで、現在、そして今後の法律のあり方を考えるという狙いがあるといいます。

『御成敗式目』『武家諸法度』といった歴史上の法令の数々も紹介されていますが、メインは江戸時代の刑罰に関する展示です。

 刺又(さすまた)等の捕り物道具、同心が使っていた十手(じって)といった、時代劇にしばしば登場する道具が展示されており、祖父母世代はグッと来ること間違いなし。そして重罪を犯した人に執行された、磔・獄門・火罪等、かなりショッキングな内容の刑罰も紹介されています。思わず目をそらしたくなりますが、わずか200年前にはこの刑罰が適用されていたわけで…。法学部生にとって一度は学ぶべき内容なのでしょう。

十手(じって)も時代劇ファンにはたまらない
十手(じって)も時代劇ファンにはたまらない

 博物館マニアの中では有名な、処刑具のギロチン、そして恥辱刑に使われたと言われる「鉄の処女」の展示も健在です。小説や漫画作品に頻出する器具の展示を入り口として、法の世界の奥深さを感じてみるのもいいかもしれませんね。

かつての刑罰「獄門」も紹介されている
かつての刑罰「獄門」も紹介されている

 最後は文学部に由来する考古部門です。明治大学は戦後間もない1950年から考古学専攻を開設したとのこと。博物館では旧石器時代から古墳時代までの、様々な遺跡から出土した資料が展示されています。長野県には「黒耀石研究センター」も開設されているそうで、大学の考古学に対する〝本気度〟がうかがえますね。

 考古部門は、日本史の「教科書の最初の方」に出てきた用語や資料がてんこ盛りです。日本の旧石器時代研究の始まりとなった「岩宿遺跡」から紹介され、縄文時代の代表的な貝塚「夏島貝塚」の説明も充実しています。土器や骨で作られた釣針も展示されているので、多くの方が学生時代に、用語だけを覚えてなんとなく飛ばし読みしていたであろう〝大昔の日本〟を深く学ぶことができますよ。

歴史の教科書でおなじみの出土品も満載
歴史の教科書でおなじみの出土品も満載

 ちなみに夏島貝塚から出土した木炭や貝殻は、当時日本に設備が整っていなかったため、わざわざアメリカに持ち込んで放射性炭素年代特定を行ったのだとか。その結果約9500年前の地層から土器が出土したことが分かり、当時の定説よりもはるか昔から、縄文時代が始まっていたことが判明したといいます。千年単位で事実が覆される学問、やっぱりロマンがありますね…!

古墳時代の埴輪も並べられている
古墳時代の埴輪も並べられている

 明治大学博物館は、忘れてしまっていたり、良く知らないまま過ごしていたりする分野の魅力を、改めて教えてくれる博物館でした。しきりに「学び直し」「生涯学習」が叫ばれる昨今ですから、皆さんも一度訪問して〝学ぶ楽しさ〟を再確認してみてはいかがでしょうか…!

【明治大学博物館】東京都千代田区神田駿河台1―1。御茶ノ水駅から徒歩3分。商品・刑事・考古という3部門で展示が行われ、大学が収集・復元した貴重な資料の数々を見学することができる。開館時間は10時から17時(土曜は16時)で、入館料は無料。休館日は日・祝日、夏季・冬季休業日等。

 公式HPは【https://www.meiji.ac.jp/museum/】。