陸上女子1万メートルで日本歴代3位(30分45秒21)の記録を持つ拓大の不破聖衣来(3年)と、指導する五十嵐利治監督の〝決意〟には一切のブレがない。
不破は8月に下半身の故障が判明し、治療と体づくりに注力。11月からジョグやペース走などの練習を再開していたが、富士山女子駅伝(30日、富士山本宮浅間大社前~富士総合運動公園陸上競技場、7区間43・4キロ)は補員登録となった。29日に静岡・富士市文化会館で取材に応じた五十嵐監督は「突貫工事で無理に仕上げていこうということはしない。他の普通の選手と同じように力的に区間配置を考えた時に、今の段階では『まだないよね』というところがあった」とその理由を明かした。
不破と五十嵐監督が掲げる究極の目標は、2028年ロサンゼルス五輪のマラソンでメダルを獲得することだ。現在は厳しい練習に耐えられる心技体を築き上げることが最優先。チーム関係者が「直近も練習している」と証言するように、決して走れない状態ではない。しかし、五十嵐監督は「ある程度走れるんだったら、走らせようかなとも思ったけど、聖衣来は無理をしてしまう」とメンバーから外すことで、再度のケガを防ぐことを重視した。
ロサンゼルス五輪を見据える上で、かねて24年パリ五輪は1万メートルで経験したいとの考えを抱いている。ただ、無理をさせてしまったら本末転倒だ。「練習の段階を踏んでいかないといけない。何か期限を区切って練習を組むと、また絶対に故障してしまう。故障しないように長期的な練習ができるようにすることが大事なので、その中で狙える試合を狙っていく」と冷静な分析のもとで調整を進めている。
五十嵐監督のもとには、不破に関する誹謗中傷が届くこともある。「あんなに文句を言われたら、イライラすることもあるよ」と苦笑いを浮かべつつも、覚悟を決めているからこそ揺らぐことはない。「一番は聖衣来をどう守って、強くさせていくのかがポイント。聖衣来を守ってしっかりできるのであれば、私は別に悪者になってもいいと思っている」。
この日の不破は笑顔でチームメートと談笑。お互いの考えにズレはない。夢の実現に向けて、これからも前だけを見て努力を続けていく。












