不完全燃焼で幕切れだ――。柔道のグランドスラム(GS)東京大会最終日(3日、東京体育館)、男子100キロ級で東京五輪金メダルのウルフ・アロン(パーク24)は、準々決勝でイタリア選手に敗戦。敗者復活戦でも苦杯をなめた。連覇を目指すパリ五輪切符を懸けた一戦で、勝ち切ることはできなかった。

 まさかの連敗に悔しさをにじませた。準々決勝は指導3による反則負けを喫し、背水の陣で臨んだ敗者復活戦では無念の一本負け。「ここ(今大会)で勝ってパリ五輪を決めるつもりだった。体の状態は悪くなかったが、その中で競り負けてしまうところはまだまだ(実力が)足りないなと思う」。取材エリアに姿を現した五輪王者は、冷静に自身の戦いぶりを振り返った。

 東京五輪後の日々は「うまく試合で勝つことができず、もどかしい気持ちだったり、苦しい気持ちがいっぱいあった。苦しい2年間だった」。そんなウルフの心を突き動かしたのは、集大成と口にするパリ五輪の存在だった。「やっぱり目標を決めて、そこに向かっていかないと、モチベーションも上がっていかない。パリ五輪での連覇を目標にやってきた」と言葉をつまらせた。

 今大会はパリ五輪の実質的な最終選考会と位置付けられた一戦だ。飯田健太郎(旭化成)は2回戦、植岡虎太郎(日本製鉄)も3回戦で敗退。世界ジュニア王者の新井道大(東海大)は決勝進出を果たすも、状況はより一層複雑化した。パリ五輪の代表は全試合終了後に行われる強化委員会で決まる方針だが、ウルフは「今は深く考えられない。どうなるかわからないけど、どういう柔道人生を歩むか、見つめ直していきたい」と表情を曇らせた。

 自らの手でパリ行きのチケットを引き寄せることができなかったウルフ。あとは神様を信じるしかない。