いざ2連覇へ――。柔道のグランドスラム(GS)東京大会(12月2~3日、東京体育館)に出場する男子100キロ級で東京五輪王者のウルフ・アロン(27=パーク24)が本紙の単独インタビューに応じた。東京五輪後は積極的にメディア出演するなど、柔道の魅力をさまざまな角度から発信。一部で上がった批判の声にも、信念はブレない。来年に迫るパリ五輪の実質的な最終選考会を前に、金メダリストの覚悟に迫った。

 ――9月のアジア大会は5位に終わった

 ウルフ アジア大会の結果に一喜一憂する時間よりも、何がダメだったのかをしっかりと考えて、次につなげることが大事。もちろん悔しかったし、優勝を目指していた大会だったので、心残りはあるが、GS東京で優勝するという目標に向けてやれている。

 ――GS東京大会に向けては

 ウルフ アジア大会では少しきれいな柔道になっていたところがあったので、もう少し本来の僕自身のやり方で、荒々しさとか、もっと雑な部分があってもいいんじゃないかなと思っている。僕自身の柔道を思い出した上で、それ以上を目指すために、練習の中で考えながら行っている。何が何でも勝ちにいきたい。勝てる柔道をしたい。

 ――東京五輪後は数多くのメディアに出演

 ウルフ 柔道の人気を増やすため、また柔道という競技や選手のことを知ってもらうために、そういった活動を多めに行っていた。それに東京五輪優勝で、柔道へのモチベーションが一回崩れてしまったので、そこの回復を図るためにも、違うことをしてみたいという思いもあった。

 ――課題は普及面

 ウルフ 柔道という競技の特性上、五輪でしかあまり見てもらえない点が、あると思っている。どうすればいいかと考えた時に、結果を残した後にテレビとかに出ることによって、僕自身のことを知ってもらえるのではと思ったし、どうしても武道、柔道って堅いイメージがあると思うので、それらを少し壊したいというか、もう少し親しみのある競技として、たくさんの人に知ってもらいたかった。

 ――そこに批判的な声もあった

 ウルフ 特には気にしてはいないですね。最終的にしっかりと結果を残すことが大事だし、周りの人たちとも相談しながら、自分で道筋を立ててやっていけばいいと思っている。正直(ネット上に)嫌なことを書いているなと思うこともあるが、そこを気にして、やるべきことを変えるようだと、やっぱり上は目指せない。自分のやるべきことは自分でわかっている。

 ――柔道の魅力を広めるためにもパリ五輪は重要だ

 ウルフ やっぱり2連覇によって、その後にやれることの幅は必ず広がってくる。パリ五輪は自分の柔道人生の集大成。その後の五輪を目指す気は、1ミリもない。6歳からの長い柔道人生最後の大きな大会だと思っている。

 ――連覇のご褒美は

 ウルフ 頑張った自分に対しては、優勝することが最高のご褒美だと思う。それ以上のものは、特に欲しいとは思わない。今まで頑張ってきたことが優勝で報われると思うし、優勝が欲しくてやっているので、それ以上のものは別にいらないですね。

 ――最後にGS東京大会への抱負を

 ウルフ GS東京で勝つことによって、パリ五輪の代表がグンと近づく。まずはここで優勝して、パリへ弾みをつけたい。

 ☆うるふ・あろん 1996年2月25日生まれ。東京都出身。父は米国出身で母が日本出身。大学4年時に出場した2017年世界選手権100キロ級で金メダルを獲得。19年には無差別級で争われる全日本選手権でも頂点に立った。21年東京五輪では100キロ級で00年シドニー五輪の井上康生氏以来となる金メダルを獲得。史上8人目となる「柔道3冠」に輝いた。パワフルな柔道が特徴で、大内刈りや内股を得意とする。身長181センチ。