両大関が明暗だ。大相撲夏場所9日目(18日、東京・両国国技館)、霧島(30=音羽山)は幕内若元春(32=荒汐)を寄り倒して1敗を堅守。額から流血する執念の相撲で単独首位に立った。一方、琴桜(28=佐渡ヶ嶽)は幕内豪ノ山(28=武隈)にはたき込まれてドロ沼の5連敗。7敗目で負け越しの瀬戸際に追い込まれている。横綱不在の中、2人の大関はどこで差がついたのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)が、両者の違いを指摘した。

 霧島が執念の相撲で白星をもぎ取った。左を差して若元春を寄り立てると、相手の小手投げをこらえながら寄り倒し。土俵から落下する際に傾斜面の踏み俵に顔を打ちつけ、額から流血した。それでも取組後の支度部屋では「これくらいで良かった。全然、大丈夫。何とか勝って良かった」と落ち着いた表情。勝ち越しを決め、優勝争いでも単独首位に立った。

 秀ノ山親方は霧島の相撲について「集中力が研ぎ澄まされていた。相手に体を密着させて力を出させず、勝負どころの攻めにも厳しさがある。最後に顔から落ちた場面は、手を緩めずに勝ち切ろうとする執念が表れていた」と絶賛。「前日(8日目)の負けを引きずることなく、自分の力を出し切れている。このまま最後まで霧島が優勝争いを引っ張っていくのでは」と期待を寄せた。

 一方で、琴桜は大関の務めを果たせていない。豪ノ山に土俵際まで攻め込まれると、反撃に出たところで相手のはたき込みに屈した。ドロ沼の5連敗で7敗目。早くも負け越しにリーチがかかった。秀ノ山親方は「霧島とは真逆の相撲。立ち遅れて後手を踏み、慌てて強引に出たことが最後の詰めの甘さにつながっている。本来の相撲が取れていない」と指摘した。

 今場所は大の里(二所ノ関)と豊昇龍(立浪)の両横綱が不在。出場力士の最高位として期待がかかるなか、両大関は明暗が分かれている。霧島は安定した成績を残して春場所で復活優勝。2年ぶりに大関への返り咲きを果たした。琴桜は一昨年九州場所の優勝以降は低迷。今場所はカド番危機に直面している。

 秀ノ山親方は「霧島は踏み込みの速さや、しっかりと体を寄せていく足腰の位置だったり、一つひとつの攻めの厳しさが場所ごとに進化している。琴桜は同じことの繰り返しで、進化した姿を見せられていない。自分の力が信じられなくなると、相手を過剰に意識して焦りや力みにつながる。負の連鎖に陥ってしまっているのでは」と両者の違いを分析した。

 優勝争いを力強くけん引する霧島と、負け越し回避へ後がなくなった琴桜。横綱不在の場所で、両大関の現在地が浮き彫りになった格好だ。