専門家の見解は――。フィギュアスケート男子で五輪2連覇を達成した羽生結弦(28)が、17日に公式SNSを更新し、8月に結婚した女性との離婚を発表して衝撃が広がっている。一部メディアの過熱報道やネット上での誹謗中傷、一部ファンのストーカー行為などを理由に挙げた。この説明を受けて、取材に応じた危機管理コミュニケーション学に詳しい東北大学特任教授・増沢隆太氏が、決断に至った背景に迫った。
2023年屈指の〝大開運日〟に舞い込んだビッグニュースから105日。急転直下の離婚報告となった。羽生は「様々なメディア媒体で、一般人であるお相手、そのご親族や関係者の方々に対して、そして私の親族、関係者に対しても、誹謗中傷やストーカー行為、許可のない取材や報道がなされています」と切り出し「これからの未来を考えたとき、お相手に幸せであってほしい、制限のない幸せでいてほしいという思いから、離婚するという決断をいたしました」などと説明した。
今回の離婚劇は日本のみならず、世界中で多くの意見が飛び交っている。SNS上では「奥さんを隠そうとしたから、余計に大ごとになってしまったのでは」などの声もあるが、増沢氏は「個人のプライバシーの部分なので、隠す権利はもちろんある」と羽生の考えを尊重。その上で「メディアがそこまで騒いでいたというよりは、一部が個人のブログやSNSでお相手の正体を探していたように感じた」と印象を語った。
詳細な離婚原因は当事者にしかわからない面もある。それでも、増沢氏は「嫌がらせに近いようなことは実際にあった可能性が高い。『誹謗や中傷』という表現からも、どちらかというと、大手のメディアよりも割とSNSでの言動などの個人規模のものが多く、逆に対処が難しかったのでは」との見方を示した。
ネットが発達した現代社会において、個人のSNSによる攻撃は世界中で多くの悲劇を生んでいる。「相手が個人だと現状では手の打ちようがない。有名なユーチューバーだったらアカウントを凍結することによる効果はあるけど、X(旧ツイッター)は、ブロックはできるけど、いくらでもアカウントをつくることはできる」とし「羽生選手も、もしかしたら手の打ちようがなくて、別れざるを得なかった可能性もある」と分析した。
羽生の苦渋の選択により、改めてクローズアップされたSNSの問題点だが、改善は容易ではない。「SNSの悪用はそれこそ個人の攻撃を生みやすく、殺人などにまでエスカレートするケースもある。当然犯罪の領域だが、匿名性が担保されている限り、この現状は変わらないのでは」と無力感を漂わせた。ネットリテラシーの低下が叫ばれる現状において、使い手と運営側のモラルが問われている。












