「食欲の秋」――夏の食欲不振がうそのように、食べる量が増えてきたという人もいるのではないだろうか。食欲があることはいいことだが、気になってくるのが体重の増加だ。太らないためにはどういうことを意識すればいいのか、なぜ太らない方がいいのか、産婦人科医で元プロボクサーの高橋怜奈先生に教えてもらおう。

痩せる仕組みは?
痩せる仕組みは?

 ――めちゃくちゃ根本的な質問で恐縮ですが、人はなぜ太るんですか

 高橋医師(以下、高橋)人間のメカニズムとして、生命を健康的に維持するために、ため込む力がそもそも備わっていると考えましょう。栄養や水分がもし吸収されないと、確かに太らないですが、ガリガリになってしまいます。多くの人に当てはまる基本的なメカニズムは「摂取カロリー」が「消費カロリー」を上回らなければ体形を維持できるということ。逆に、上回るとオーバーカロリーになり、余剰分のカロリーが脂肪になり太るわけです。

 ――ただ、どれだけ食べても太らない人っていますよね

 高橋 人それぞれ体質があって、栄養素の吸収をすごくしてしまう人と、しにくい人がいます。それはもう個体差としか言いようがないですね。

 ――「太らないために」と「痩せるために」、それぞれ意識すべきことは違いますか

 高橋 全く違います。人は恒常性といい、今の体形とか体温を維持するようにできています。そのため、1日“だけ”たくさん食べても、すぐには太りません。「摂取カロリー」と「消費カロリー」がおおむねイコールくらいになっていれば、一定の体重を保つようになっているのです。

 ――“太らないための機能”がある程度は備わっているわけですね。では、それ以上、つまり「痩せる」となると、より頑張る必要がある…

 高橋 その通りです。「消費カロリー」を「摂取カロリー」より多くして、その状態をしばらく継続することで、痩せた体を維持できるようになるわけです。筋肉を増やすことも欠かせません。基礎代謝を上げることは、痩せることにも、そして太りにくい体質をつくることにもつながります。

 ――そもそも、太るのってなぜダメなんでしょう

 高橋 高血圧や糖尿病といった生活習慣病と言われる病気に体重増加は非常に影響しています。そしてそういう病気がもととなって、心筋梗塞やEDなども起こるんです。

 ――EDですか!? 加齢などが原因だと思っていました

 高橋 EDには心因性と器質性がありますが、器質性のEDの主な原因は、動脈硬化など血流に影響が出ることです。もちろん加齢で血管が衰えることも原因になりますが、生活習慣病で動脈硬化が進むことももちろん影響します。
 
 ☆たかはし・れな 産婦人科専門医。渋谷文化村通りレディスクリニック院長。東邦大学医療センター大橋病院月経困難症専門外来担当。世界初の女医ボクサーとしての経験を生かし、ダイエットや無理のない減量、食事療法や運動療法のアドバイスも行っている。