肝臓の細胞に炎症が起きる「肝炎」。ウイルス性肝炎は5種類ある。知っているようで知らなかったそれぞれのウイルスの感染経路や症状について内科医の岡林美紗子医師に教えてもらおう。

 ――肝炎ウイルスにはいくつかの種類があるんですよね

 岡林医師(以下岡林)そうですね。分類の仕方としては、基本はA型、B型、C型、D型、E型の5種類なのですが、D型のウイルスはB型肝炎ウイルスに感染しないとかからないものなので、省略されて4種類とされる場合もあります。

 ――それぞれの特徴を教えてください

 岡林 A型肝炎は主に経口感染で、流行地である東南アジアなど発展途上国で汚染された水を飲んだり現地の生の貝類を食べることで感染します。B型肝炎は主に血液や体液を介して感染し、その要因としては輸血や性交渉、母子感染などがあります。しかし今はワクチンの定期接種があるので今後は母子感染の感染者は減ると思います。C型肝炎は、主に血液を介して感染します。輸血や入れ墨などがリスクとなります。D型肝炎はB型肝炎ウイルスが体にもともといる状態かB型と同時でないと感染しません。E型肝炎も経口感染でイノシシやシカなどのジビエ肉をしっかり加熱せずに食べると感染のリスクになります。

 ――特に注意が必要な肝炎ウイルスはありますか

 岡林 日本国内で診療していて出合う可能性がある肝炎ウイルスは、主にA型、B型、C型でD型やE型はかなりまれです。A型も発展途上国などへの海外渡航歴がなければ国内で感染が流行するという可能性は低いと思いますね。ウイルス性肝炎で問題になるのは頻度として主にB型とC型と思っていただいてよろしいでしょう。

 ――A型、B型、C型の肝炎ウイルスについて主な症状を教えてください

 岡林 まず、ウイルス性肝炎の症状には急性と慢性があります。A型の場合は慢性化することはなく基本的には急性肝炎を起こしますが、無症状の方もいます。しかし、まれに劇症化といって命が危ぶまれる状態になることがありますので注意が必要です。ワクチンがあるので流行地に渡航する予定の方は接種をおすすめします。

 ――B型肝炎は
 岡林 母子感染といって、免疫が確立されていない赤ちゃんの時に感染してしまうと症状が出ないままB型肝炎ウイルスを体に持った状態(キャリア)になってしまって慢性肝炎、肝硬変、肝がんといった経過をたどることがあります。大人になってから初めてB型肝炎にかかる場合は急性肝炎の症状が多くほとんどは完治しますが、約1割は慢性肝炎、肝硬変へ移行します。C型は急性症状がほとんど出ず、慢性化しやすい特徴があります。C型肝炎にかかると7割ほどの人がキャリアになり慢性化するリスクがあります。慢性化すると肝硬変や肝がんになるリスクが最も高いウイルスです。

 ――ウイルス性肝炎に感染しているかどうかを調べる方法を教えてください

 岡林 医療機関で血液検査を受けてウイルスの抗原や抗体を確認することで簡単に調べることができます。B型やC型については健康診断や人間ドックで調べてくれるところもありますよ。家族歴がある、過去に感染リスクの心当たりがある、肝機能の異常を指摘されているなど、気になることのある方はぜひ一度調べてみることをおすすめします。

 ☆おかばやし・みさこ 千葉大学医学部卒業。千葉西総合病院消化器内科で内視鏡検査や消化器内科の診療に従事する傍ら、狛江市にある松本脳神経外科内科クリニックで一般内科外来にも携わる。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医取得。ヘリコバクター学会所属。