【石井和義の光と影(最終回)】1993年に創立した「K―1グランプリ」や2002年の「Dynamite!」など、日本列島を大熱狂させる数々の格闘技イベントを手掛けてきた正道会館の石井和義館長(70)が、これまでのキャリアを振り返ってきた連載「光と影」。最終回は豊富な経験を踏まえて、今後の日本格闘技界へ期待とエールを送る。日本の格闘技は再び黄金時代を迎えられるのか。その金言は――。

 ――今後の格闘技界で期待するのは

 石井館長(以下、石井)期待しているのはやっぱり「K―1」ですね。国際感覚と金銭感覚がしっかりしているビジネスマンのオーナーがいて、幹部にも人材がそろっている。もともと「K―1」という名前は世界に広がっているから。やり方によっては一番可能性がある。一方で今、一番伸びているのは「RIZIN」ですよね。バラさん(榊原信行CEO)はしぶといよね。ビジネスマンでもあるし、勝負師というか山師というか。すげえなあと。実績と自信が彼を支えているというか。

 ――ここからK―1が再び飛躍するのに必要なものは

 石井「日本から世界」という感覚はもう捨てた方がいいかもしれないですね。30年前と全然違って、日本という国自体が〝斜陽国〟になっているから。あの頃とはエネルギーが違うかなというのがあるでしょ。例えばシンガポールとかスイスに本社を置いて、世界を目指した方がいいんじゃないか。「日本から世界へ」じゃなくて「世界から日本へ」みたいな方がいいかもしれないですね。

 ――RIZINに期待することは

 石井 それでも(格闘技団体の)「UFC」「PFL」「ONE」に出遅れているでしょ。そこをどう追いつくか…。今、僕だったら中東を狙います。実際、WWEも中東に力を入れてやってるでしょ。そういう意味で今回、アゼルバイジャンで(11月4日に)試合をするのはさすがだと思いましたよ。中東と隣接する国ですから。アゼルバイジャンを起点に中東をバラさんがどれだけつかめるか。総合(格闘技)はやっぱりお金がかかるから…。

 ――館長の時代と今の格闘技の最大の違いは地上波放送の有無だが

 石井 僕の時は〝配信〟はテレビしかなかったですから。テレビから放映権料をもらえた。それが今はPPVでお客さんからお金をもらうというスタイルになりましたよね。

 ――このまま地上波放送とは手を切っていいと思うか

 石井 囲い込みのビジネスで決められたパイに売る(PPV)だけより、不特定多数に発信できるテレビは活用できるならした方がいいと思います。僕だったらテレビ局と仲良くなって、巻き込んでパイを広げたいですよね。例えばメインだけPPVをやってテレビ局にもおいしいところをあげて、一緒にやっていくような形にできたらいいけどね。みんな自分で受け取ろうとするから無理なんですよ。分け与えることが大切なんです。

 ――今後の格闘技界で注目しているのは

 石井 那須川天心君がボクシングでチャンピオンになった後ですよね。その後、どこに進むのか。(元の)「RISE」に戻れば「ガーン!」といけるだろうけど、もしそこまでに「K―1」がデカくなっていたらそっちに行くかもしれない。そうなったら「K―1」が一気にいくでしょ。そこですよね。

 ――すでにそこまで未来を見ていると

 石井 もうその戦いは始まってますから。今後の格闘技界のテーマの1つですよ。「天心のカムバックはどこになるか」。もしかしたら「RIZIN」や「UFC」の可能性もある。キック、ボクシング、総合格闘技の3冠となったら面白いし。大注目していますよ!

☆いしい・かずよし 1953年6月10日生まれ。愛媛県宇和島市出身。14歳から空手を始め、69年に極真会館芦原道場入門。76年には同関西地区総責任者として約5万人に指導した。80年に独立し、新日本空手道連盟正道館を創設。81年に正道会館に改名し、93年にK―1グランプリを開催。2002年には国立競技場で10万人を集めて「Dynamite!」を開催する。現在も正道会館館長として精力的に活動している。