日大アメリカンフットボール部の違法薬物事件が、新たな局面を迎えている。警視庁は22日、すでに逮捕された部員とは別の部員にも大麻を所持していた疑いがあるとして、都内の寮を再び家宅捜索した。取材によれば、逮捕された部員以外に少なくとも学生4人、卒業生6人程度が7月の時点で違法薬物の使用を認めていたことが判明。10人以上が集団で事件に関与した疑惑が浮上しており、社会を揺るがす大事件に発展する可能性も出てきた。
違法薬物問題で揺れる日大アメフト部で、新たな〝重大疑惑〟が浮上した。アメフト部の首脳陣は昨年11月、保護者からの依頼を受けて部員に対するヒアリング調査を実施。日大は今月8日の会見で、部員から「大麻のようなものを吸った」と自己申告があったと説明していた。
関係者によると、昨年11月の段階で違法薬物の使用を認めていた部員の数は「複数人」だったことが判明。しかも、大学が本格的な調査に乗り出した7月の時点で、逮捕された学生以外に少なくとも学生4人、卒業生6人程度が違法薬物の使用を認めていたという。
日大広報部は取材に「事実ではありません」と回答しているが、実際に10人以上が集団で事件に関与していたとなれば、社会を揺るがす大事件に発展することは避けられない。さらには、薬物使用を認めた学生が「(今年の)3月に卒業した先輩からもらった」と証言していたとの情報もある。これが事実なら、アメフト部内で数年前から違法薬物がまん延していた可能性が高い。もはや、好奇心による〝火遊び〟の域を超えて「常習性」が疑われるレベルだ。
大学側の〝隠蔽疑惑〟も深まっている。10日には大学ホームページで「部員1名による薬物単純所持という個人犯罪」と発表し、あくまでもアメフト部ではなく個人が起こした事件であることを強調。翌11日からチームの全体練習を再開し、リーグ戦の出場を目指していた。
この対応に、アメフト関係者は「問題の本質や論点がすり替わっている。今回の事件がなぜ、どんな環境で起きたのか。これを防ぐための議論を誰もしていない」と疑問を投げかける。「アメフト部の寮にはコーチが常駐している。その中で薬物を常習している学生が複数人いるという話なので、やはり部内の問題としてとらえるべきだと思う」と指導陣の責任についても指摘した。
大学側が8日に開いた会見では、林真理子理事長、酒井健夫学長、澤田康広副学長が出席する一方で、アメフト部の中村敏英監督以下の首脳陣は姿を見せず。前出関係者は「(アメフト部の指導陣は)全く自分の責任だと思っていない印象を受ける。完全に〝闇〟に隠れて(チームが)試合に出ることを正当化しているように見える」と批判した。
いずれにせよ、一連の騒動は、まだまだ拡大しそうな雲行き。輝かしい実績を残してきた名門として知られる「日大フェニックス」は試合への出場どころか、部の存続さえ危ぶまれる危機に直面している。
【パワハラも発覚】日大アメフト部のコーチが部員に対してパワハラ行為を行っていた問題で、大学側が22日までに同コーチを解任していたことが、関係者への取材でわかった。
「NEWSポストセブン」は17日、ヘッドコーチを務めるA氏が「一部の部員らに対して『殺すぞ』と暴言を吐くなど恒常的にパワハラをしていた」とし、今年5月に部員が保護者と一緒に指導陣に訴えたことで騒動が発覚したことなどを報道。一方で、大学側は18日、同コーチに7月27日付で無期限指導停止の処分を科したことを明らかにしていた。
アメフト部から調査委員会の設置を依頼された大学側は、調査結果を基に、改めてコーチに対する最終的な処分内容を検討するとしていた。同コーチに対しては、一部で「熱心で真面目」「誠実」との評判もあったが、自らの行為により指導の現場から去ることになった。