中国でスパイ行為を働いたとして、6年間拘束された元日中青年交流協会理事長の鈴木英司氏が8日、都内の日本記者クラブで会見し、中国での日本人拘束リスクが高まっていると警鐘を鳴らした。鈴木氏は2016年に北京を訪れた際、北京市国家安全局にスパイ容疑で拘束された。非公開の法廷で有罪となり、昨年10月に刑期を終えるまで、6年3か月も拘束される憂き目に遭った。

 容疑は13年に当時報じられていた北朝鮮の張成沢氏の粛清について、中国の外交官と食事をした際に話題にしたこと。会話を盗聴され、「彼らに言わせれば、(中国国営通信の)新華社の報道にない以上、秘密事項である」(鈴木氏)。また日本の公安調査庁の代理人であると決めつけられたという。中国への渡航歴は200回を超える親中派の鈴木氏は中国高官とのパイプも太く、自身の拘束は、公安調査庁との情報の行き来の遮断、日本政府に対する威嚇などの事情があったのではないかと推測したが、真相は分からないままだという。

 独裁体制を強める習近平国家主席は、7月から改正反スパイ法を施行し、取り締まりはより強化された。外務省は「国家安全に危害を与える」とされる行為はしないように注意喚起している。

「中国でホテルに泊まると誰が泊まったかを全部調べると同時に資料は全部、安全部(局)に行く。またそれなりの人はホテル側が部屋を〇〇号室と案内するが、場合によっては女性と一緒に入るかもしれない。それをすべて見ている」(同)。

 室内には隠しカメラがセットされ、行動はすべて監視されているという。鈴木氏は「会社としては(対策を)教育しないといけないが、恣意的に捕まえるから無理。写真を撮らない、本を持たない、地図を持って歩かない、偉い人に会わないとかあるが、小手先に過ぎず、根本的な解決にはならない」として、「政府のリーダーがうるさいくらいに要求しないとダメ」と、日本政府が中国に毅然とした対応を取る必要があると説いた。