ヒロイン候補が見据える未来とは――。14日に開幕した水泳の世界選手権(福岡)は、23日から競泳がスタートする。大会前に、女子200メートルバタフライに出場する三井愛梨(19=横浜サクラ)が直撃に応じ、大舞台に向けた胸中を激白した。世界初挑戦を控える〝ダイヤの原石〟は、世界の本気を体感して2024年パリ五輪メダル獲得へとつなげる青写真だ。

 世界選手権出場を狙った2022年3月の国際大会代表選考会でライバルに敗戦。幼少期にはゲームで負けると涙を流すなど、生粋の〝負けず嫌い精神〟を持つ三井にとっては、大きな転機となった。

「代表を逃した悔しさがバネになって、今までとは違う気持ちで頑張ることができた」。どうしたら代表に選ばれたライバルより速く泳げるのか。高いモチベーションで練習を重ね、23年4月の日本選手権200メートルバタフライで自己ベストとなる2分6秒77をマークして初優勝。世界への扉を切り開いた。

藤森善弘コーチ(右)とともに取材に応じた三井
藤森善弘コーチ(右)とともに取材に応じた三井

 自身の泳ぎで最も心掛けているのは「前に体重を乗せること。体が浮いてくる感じがして、それがスムーズな泳ぎにつながる」。無駄のない動きは、数々のオリンピアンを育ててきた藤森善弘コーチも「前に乗っかかるのがうまい。それは天性のもの」と評価する。

 まだ発展途上の段階とはいえ、22年世界選手権200メートルバタフライの銅メダルタイムと三井の自己ベストはわずか0・45秒差。表彰台のカギを握るのは、課題の一つであるスタートやターン時に潜水して水面に上がるまでの動作「浮き上がり」だ。

 200メートルでは計4回「浮き上がり」の場面がある。スタートやターンの直後が最も加速する一方で、水面に上がって泳ぎ始める瞬間は抵抗が大きい。潜水時間が長ければ長いほど、少ない抵抗かつ速いスピードで泳げることから、三井は「少しでも(長く)潜れればだいぶタイムも縮む」と分析する。

 先月には約3週間にわたって、標高約2100メートルの米フラッグスタッフで高地合宿を敢行し「米国で強い練習も乗り越えてきたので、それが自信につながってくるかなと思う」と充実の表情。「浮き上がり」についても「合宿に行く前よりは、自分の感覚としては潜れているのかな」と手応えを口にした。

目標を色紙にしたためた三井
目標を色紙にしたためた三井

 貪欲にレベルアップを目指す若きスイマーも、プールを離れれば普通の女子大生だ。「家でゆっくりしている時間が一番の息抜き。寝たり、ユーチューブを見たり、お菓子を食べたりしています」。最近はインフルエンサー・加藤愛梨のユーチューブがお気に入りで「顔も雰囲気もおしゃれで、画面上なので実際どういう人かわからないけど、すてきな人だなと思う」とほほ笑んだ。

 世界選手権後に食べたいものは「抹茶のスイーツ」。随所に垣間見える初々しさも大きな魅力だが、競泳の話になると自然と表情が引き締まる。「世界選手権の目標を色紙にお願いします」と要望すると「ベスト更新!」と記入。その上で「ベストを更新して、決勝に残って一つでも上の順位を取りたい。今回は経験を積むのが一番で、パリ五輪では今年の経験も生かして、メダルを目標にしたい」と誓った。

 200メートルバタフライは、26日に予選と準決勝、27日に決勝が行われる。まずは世界の猛者たちを相手に、己の現在地を確かめる。

 ☆みつい・あいり 2004年6月12日生まれ。神奈川県出身。5歳で水泳を始める。高校時代はモチベーションの低下に苦しむ時期もあったが、22年8月のジュニアパンパシフィック選手権200メートルバタフライで優勝。22年12月の世界短水路選手権では同種目6位入賞。23年4月の日本選手権は同種目で自己ベストを1秒以上更新して初優勝。世界選手権の切符を奪取した。法大在学中。163センチ。