俺はこう生きる。〝神童〟那須川天心(24=帝拳)が、宮崎駿監督(82)による10年ぶりの長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」(スタジオジブリ製作)から強力な追い風を受けたことを明かした。ボクシング転向2戦目(9月18日、東京・有明アリーナ)でのフアン・フローレス(23=メキシコ)戦を前に、賛否真っ二つの〝衝撃作〟から神童が受け取ったものとは…。

 那須川は19日、都内で行われたカード発表会見に出席した。高級ブランド「ディオール」の古代エジプトをイメージした個性的な白い衣装で壇上に上がると「俺なりの正装です。バチっと決めようと思って着ました」とニヤリ。デビュー戦の6回戦で日本ランキング2位の与那覇勇気(真正)に判定勝ちを収めた神童は、2戦目は8回戦で9戦9勝7KOのハードパンチャーと相対することになった。

世にも珍しいディオール服を着た天心
世にも珍しいディオール服を着た天心

 試合に向けて「前回は判定で、圧倒した内容で100点ではあるんですけど120点ではなかったので、できなかったことを修正して挑みたいと思います」と断言。デビュー戦後に積み重ねた成長を見せると約束すると「前回は当てるイメージだった。今回はしっかり殴りにいきたい」と誓った。

 会見でも全く迷いのない様子の神童だが、その背中を押していたのがまさに「君たちはどう生きるか」だった。賛否が分かれる作品だが、封切り直後に鑑賞し「あれは、ふるいにかけられますよね、見る側が。宮崎駿監督に試されているというか…」と振り返る。その上で感想を求められると、公開中なだけに言葉を選びながら「題名通り〝どう生きるか〟ですよね。あれを見ても何も感じない人は感じないし、思う人は思うし。だからあれだけ評価が『1』と『5』で分かれているんだと思います。僕はあれを見て、思うところがたくさんありました」と絶賛しつつも評価が二分されていることに理解を示した。

 その上で、否定的な意見を恐れないことが大事とのメッセージも受け取ったと明かす。「俺も感覚は一緒で良かったなと思いました。何をしても批判するヤツは批判するんです。だから俺はそういう人に向けては何もやらないので。分からないヤツは分からないし、分かるヤツは分かる。分からないヤツを救おうと思わないし、分かる人だけを見てるんです」と力説。今回、宮崎監督の姿勢からは、故アントニオ猪木さん(享年79)の名言「見たくないヤツは見に来るな」にも通じるものがあると感じたという。

「基本そうなんですよ。全員に『応援してください』なんて思わない。しないヤツはしなくていい。『でも気になるんでしょ?』というのはありますけどね」と語気を強めた。

 作品を鑑賞したことで「この生き方で間違ってないんだっていうのを改めて感じました」と確信を得た。このまま我が道をまっすぐ進み、ボクシングでも頂点を目指す。