米沿岸警備隊は22日、1912年に沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に行方不明になった潜水艇「タイタン」の破片を海底で発見したと発表した。水圧でつぶれたとみられ、乗っていた5人の生存は「絶望的だ」と弔意を表明した。

 発見された破片から、壊滅的な爆縮が起きた可能性が高いという。米海軍高官はウォールストリート・ジャーナルに対し、「米海軍は音響データの分析を行い、通信が途絶えたタイタン潜水艦が航行していた場所のほぼ付近で爆縮または爆発と一致する異常を検出した」と語った。爆発は内から外に圧力が働くが、爆縮は外から内に圧力が働く。

 タイタンは沈んでいるタイタニック号の真上の深海1万2500フィート(約3800メートル)地点で最後の通信が行われた。水深3800メートルということは380気圧となり、1平方センチメートルに380キロの力がかかることになる。深海でそのような力がタイタンにかかっていたため、船体に何らかの破損が生じると周囲からの圧力で一瞬で押しつぶされることになる。

 タイタンの全長は6・7メートル。爆縮が起きると1ミリ秒(1000分の1秒=0・001秒)以内で船体が完全に崩壊することになる。人間が刺激を受け、脳が感じ取るには数百ミリ秒かかるという。痛みを感じる前に亡くなっていたことになる。

 元米海軍の海中医学・放射線衛生部長であるデール・モレ博士は「あまりにも突然だったので、自分たちの身に何が起こったのかさえ分からなかったでしょう」と英紙デーリー・メールに話す。

 米紙ニューヨーク・ポストに民間潜水艇会社の共同創設者のオファー・ケッター氏は「何かが船体を破壊した場合、爆縮はナノ秒(10億分の1秒)ではないにしてもミリ秒以内に起こるでしょう。彼らはそんなことが起こったことを全く知らなかった。この非常にネガティブな状況において、これは実際には非常にポジティブなことです。一瞬です。体が痛みを感じているというメッセージを脳に送る前に…」と語った。

 専門家たちによると、真っ暗で気温4度のタイタン内で酸素供給リミットである96時間を過ごして絶望のうちに亡くなるより、何が起こったのか分からないままの方がましだという。