陸上自衛隊の射撃場で14日、隊員3人が自衛官候補生の男(18)に小銃で撃たれ、2人が死亡した事件で、昨年まで幹部自衛官だった吉川蓮民(はすみん)氏(26)が自衛隊にはびこる組織的な問題を語った。

 吉川氏は防衛医科大学校看護学科を卒業後、自衛隊病院で看護師として勤務し、3等陸尉だった昨年3月に退職。今年4月の統一地方選で東京・世田谷区議選に立候補し、自衛隊時代に受けたパワハラについて告発に出ていた。

 今回の事件の背景に自衛隊の指導現場での問題があるとする吉川氏は、実体験を踏まえてこう指摘する。

「若い人が足りていないこともあって、心が強くなかったり、社会性に問題がある人もとりあえず候補生として、入れてしまう。24時間一緒だったり、多人数部屋で相当なストレスがかかる。私の時も集団生活になじめずにハサミを振り回したりする人がいました。またイジメの標的になったりする人も出てきて、イジメる側も思考停止になって、一斉に攻撃したりする」

 指導側も昨今の自衛隊で横行しているパワハラ、セクハラ問題を受け、変化が起きている。組織は異なるが、警察学校を舞台にした木村拓哉主演のドラマ「教場」シリーズで描かれる厳しい教育現場は自衛隊の候補生課程でも同様で、冷酷無比な“風間公親”型の教官が増えているという。

「手を出すことは減ったが、その分、言葉での当たりが厳しくなっている。『自衛隊に向いていない』『バカヤロー』は普通ですよね。言い方も教官によって、ねちねちとしつこかったりで、心に傷を負う人が出てくる」

 一方で、教官も配慮が必要で大変だという。若手隊員が問題を起こした時や物を紛失した際には、上官から厳しい叱責が飛び、罰則で腕立て伏せなどが行われることがある。

「腕立ての指揮を執る教官も一緒に腕立てをします。でないと体罰になってしまう。なので言い出しっぺで命じるのは体力がある若い教官になりがちなんですが、ストレスを抱え込んで、また口で厳しく当たるという悪循環に陥っている」

 陸自は原因究明と再発防止に向けた調査委員会を立ち上げるというが、銃の取り扱いの改善というだけでは済まない根深い問題が潜んでいる。