格闘家の武尊(31)が戦いの舞台に帰ってくる。6月24日にフランス・パリで復帰戦を行うことが29日に発表され、今後は「ABEMA」専属PPVファイターとなり、配信大会では1試合ごとに1億円が保証されることも決定した。下積み時代は「リアル1か月1万円生活」を送っていた男が「ワンマッチ最低1億円」の契約をつかんだ裏には、格闘技界変革を望む熱い思いがある。
昨年6月の「THE MATCH」(東京ドーム)で那須川天心に敗れた武尊は、ケガの治療などのため無期限の休業に入った。約1年ぶりとなる復帰戦はフランスで開催される格闘技イベント「Impact in Paris」で、英国の強豪ベイリー・サグデンとのISKA61キロ級王座決定戦が決定した。
念願の海外初進出となる武尊は「日本の格闘界には、こんなに強くて、こんなに面白い選手がいるんだとアピールしたい」と豪語。将来的な「ONEチャンピオンシップ」のムエタイフライ級王者ロッタン・ジットムアンノン(タイ)との対戦や格闘技W杯実現の野望に目を輝かせたが、一方で周囲を驚かせたのが新たな契約形態だ。
ABEMA専属PPVファイターとなり、配信大会では1試合ごとに最低1億円が保証される。しかも、ファイトマネーは別というから破格の条件だ。
取材に応じた武尊は「これが、これから基準になってというか、夢のある業界になれば目指す選手も増えていくし。業界ももっと発展して、いい選手がたくさん出てくると思うので」と期待を寄せた。
関係者によると1億円という金額は交渉の結果ではなく、ABEMA側からの提案による設定だという。武尊は自身がその金額を得ることで後進に夢を与えることができると判断した。
その根底には下積み時代に経験した金銭面の苦労がある。18歳で上京した当初は家賃3万円のアパートに住み、練習と試合の合間はアルバイトの日々。食事もままならならず、1袋19円のもやしを主食にしていたエピソードは有名だ。
「〝1か月1万円生活〟をリアルでやっていたので。そういう時とかも、もっといい食事が取れてたら、体ももっと早くできたかもしれないし…。同じ思いはこれから格闘技を目指す選手たちにさせたくないですね」
格闘技人気が低迷していた時代は、試合に勝っても対価を得られなかった。23歳でK―1王者になり、ようやくバイト生活から抜け出したが、それはあくまで数少ない成功例だ。「生活のために格闘技を捨てないといけなかった人たちもたくさんいると思うので。そういう理由で才能がなくなってしまうのはつらいし、そうじゃないように、これから変わっていったらいいなと思います」と訴える。
「UFCの人たちは長者番付に入るような選手がたくさんいる。それだけ素晴らしい業界だと思うので、格闘技って。命がけで戦って、それだけの対価がある業界にしたい」。破格契約に込めた思いを明かした元K―1の3階級制覇王者が、日本格闘界の未来にカネの雨を降らせる〝レインメーカー〟となる。












