【日本の外食チェーン 世界でもすごかった】海外進出で成功している外食チェーンに注目する当企画。3回目は、海外で457店舗(2023年2月時点)を展開する日本生まれのハンバーガーチェーン「モスバーガー」だ。たっぷりのミートソースがおいしい看板メニュー「モスバーガー」の評判は国によって様々。ライスバーガーの売り上げが日本を上回る国もあるという。食文化の違いによって変化するモスの海外限定メニューとは?

台湾のモスバーガー店舗
台湾のモスバーガー店舗

 モスバーガーは現在、台湾、シンガポール、香港、タイ、韓国、オーストラリア、インドネシア、フィリピン、中国の計9つの国と地域で海外店舗を展開。その中で304店舗と最も店舗数が多い台湾では30年以上前からモスバーガーの海外事業を始めているという。

「台湾では、空港や新幹線の駅といった公共施設にもモスバーガーがあります。台湾に行った日本人の方からは、マクドナルドよりもモスの方がよく見かけたと言われたりします」

取締役常務執行役員国際本部長の瀧深淳氏
取締役常務執行役員国際本部長の瀧深淳氏

 そう話すのは、株式会社モスフードサービス取締役常務執行役員国際本部長の瀧深淳氏。

 台湾のモスで人気のメニューはモスバーガーよりもライスバーガー。同商品は日本でも2種類(※期間限定商品は除く)販売されているが、台湾の店舗では10種類と圧倒的な人気と売上高となっているという。

「ライスバーガーはもともとお米を使った日本らしい商品として1987年に発売し、当時は爆発的に売れたのですが、その後はパンを使った商品を超えるまでにはなりませんでした。しかし、台湾では大人気。ビーフンや小籠包、肉まんなどに使われるモチモチとした生地のパオをよく食べる台湾の方にとって、パサパサとした食感のバンズよりもモチモチとした食感のお米の方がおいしく感じるのだと思います」(以下すべて瀧深氏)

 台湾のライスバーガーは日本と違い、キヌアや大麦が白米に交ぜられている。健康志向が強い台湾ではこういった工夫をすることで多くの人に興味を持ってもらえるそうだ。ライスバーガーのメニューは日本にもある焼き肉を挟んだ商品や海鮮かき揚げを挟んだ商品のほかに、ベジタリアン向けのオリジナル商品がある。

「台湾のベジタリアンの方には五葷(ごくん)と言って、ネギやニンニクなどのにおいの強い野菜を食べたらいけないという意識があります。そのためそういった食材を使わないプラントベースのメニューや、お肉を使わずきのこを使ったマッシュルームバーガーなどを販売し、メニュー表には具材の絵文字を表記することで分かりやすくしています」

 現地の人を引き付けるコツは商品名にもある。

「例えば商品名に北海道という名前を入れたりすると現地の方は日本の商品だと認識してくれて、より興味を持ってくれるんです。アジアの国では北海道の知名度は東京よりも高いと思います。雪が降る地域、食べ物がおいしい地域として憧れの観光地の一つになっています」

 アジアの各国でモスの商品は形を変えながら現地になじむファストフードとなってきた。一方でハンバーガーの食文化があるオーストラリアでは、看板商品のモスバーガーが現地の人になかなか受け入れてもらえなかったという。

「最初は『緑の野菜が入っていないから』という理由でモスバーガーを食べてもらえませんでした。トマトを入れるなら緑の野菜を入れるのが彼らにとっての常識という感じだったのです。また、オーストラリアの方はハンバーガーに入っている野菜の組み合わせにも厳しい。これは食文化の違いの問題で、日本人は納豆をご飯にかけるけど、はちみつはかけないじゃないですか。彼らにとってハンバーガーの具材の組み合わせもそういった常識があるから日本式のハンバーガーに違和感を感じたりするんだと思います」

オーストラリアで人気の「EASY CHEESY」(イージー・チージー)」
オーストラリアで人気の「EASY CHEESY」(イージー・チージー)」

 そんなオーストラリアで人気がある商品は「EASY CHEESY」(イージー・チージー)というレタスとタマネギ、ビーフパティ、トマトソースが入ったバーガー。

「現地のスタッフが商品名を考えたのですが、この名前も現地の方にとってはおいしそうな響きに聞こえるそうです。海外事業を担当していると、日本人には分からない感覚があって大変なときもありますが、それが興味深くて面白いですね」

新発売の「ソイシーバーガー」
新発売の「ソイシーバーガー」

【注目の新メニュー】国内のモスバーガーで販売している「グリーンバーガー」シリーズの第3弾として、植物性たんぱくを使用してフィッシュカツを再現したプラントベースのフィッシュ風バーガー、「ソイシーバーガー」が登場。別添えのタルタルソースにもたまごなどの動物性たんぱくを一切使用していないプラントベースの商品になっているという。本物そっくりだという味に注目だ。