まさかのアクシデントだ。大相撲春場所3日目(14日、大阪府立体育会館)、綱取りに挑む大関貴景勝(26=常盤山)が元大関の幕内正代(31=時津風)を押し出して2勝目(1敗)。しかし、取組後は左脚を引きずりながら花道を引き揚げた。貴景勝は、過去にも大きな節目となる場面で故障禍に見舞われてきた。〝悲運の大関〟が、今回も試練に直面している。

 貴景勝は頭で当たってから突き押しで攻め込むと、土俵際でこらえる正代を力強く押し出した。〝異変〟が起きたのは、その直後だ。土俵上で左脚を気にするしぐさを見せ、花道を引き揚げる際は引きずるような足どりだった。初日、2日目に続いてオンライン取材には応じず、沈黙を守ったまま会場を後にした。

 土俵下で審判長を務めた粂川親方(元小結琴稲妻)は「いい相撲だった。立ち合いも良かったし、引かずによく攻めた」と相撲内容を高く評価した一方で「終わってから脚を気にしていたから、ちょっと心配」と表情を曇らせた。NHKの大相撲中継で解説を務めた宮城野親方(元横綱白鵬)は「正代が残った時、ちょっとヒザが伸びたような…」と指摘した。

 貴景勝は、過去にも節目となる局面で故障禍に見舞われてきた。新大関で臨んだ2019年夏場所は右ヒザを痛めて途中休場。カド番の名古屋場所は万全の状態に戻らず、初日から全休して関脇へ転落した。当初は貴景勝が強行出場を主張し、師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)が猛反対。4時間以上に及ぶ説得の末、最後は休場を受け入れた。

 続く秋場所では12勝を挙げて大関復帰を決める一方で、御嶽海(出羽海)に敗れた優勝決定戦の相撲で大胸筋を肉離れ。全治6週間の大ケガを負った。最初の綱取りに挑んだ21年初場所は序盤戦で左足を負傷。痛みを押して出場を続けたが、本来の力を発揮できず最後は途中休場となった。同年夏場所は優勝同点も、次の名古屋場所は首を痛めて途中休場…。ケガで涙をのんだ回数は、枚挙にいとまがない。

 その貴景勝は、今場所の番付発表会見で「相撲人生の中で何度もあるチャンスではない」と綱取りへ向けて並々ならぬ意欲を示していた。初日に痛恨の黒星を喫してから、2連勝で復調の兆しを見せた矢先のアクシデント。今回も悲劇は繰り返されてしまうのか。