10月1日に死去したアントニオ猪木さん(享年79)の追悼イベント「INOKI BOM―BA―YE×巌流島in両国(猪木祭り)」(28日、東京・両国国技館)に出場するイゴール・タナベ(22=ブラジル)とシビサイ頌真(31)に、藤原喜明組長(73)が特訓を施した。
タナベはMMA(総合格闘技)ルールでメルヴィン・マヌーフ(オランダ)と、シビサイは巌流島特別ルールでジョシュ・バーネット(米国)とそれぞれ対戦。今回、特別コーチとして招へいされた藤原組長は、練習が始まると2人にスパーリングをするよう命じる。これを真剣なまなざしでみつめて動きを確認しながら、要所で動きを止めてアキレス腱固めやそこからのヒールホールド、さらにアームロック、三角絞めなどのポイントを指導した。
さらにスパーリング後は車座になり、藤原組長から〝心構え〟が伝えられた。国内では貴重なヘビー級戦士2人に「せっかくごつい体を両親からもらったんだから有効に使わないとな。骨が大きいのは財産だ」と語りかける。そして「これ(格闘技)をやってればみんな最後は車いすだよ。でも、それでいいと思うんだ。一生何かに没頭して、最後は車いすでも。しょうがねえんだよ。俺だってひじはボロボロ、首もボロボロで背中は脊柱管狭窄症だし、ひざは曲がってくるし、足首もボロボロだし。でも1つのことをずっと一生懸命やってきた証しというかね」と、ファイターとしての覚悟を説いた。
続いて「私らはまず乗っかることだった。乗っかって相手を疲れさせると必ずチャンスが来る。相手がうつ伏せだろうが四つ這いだろうが乗っかる」とポジショニングの重要性を力説。「力の強いヤツに力でいくとこっちの方が疲れて『早くうちに帰ってビール飲みたい』って思っちゃうだろ?」と笑顔で話すと、苦笑いしながらうなずくシビサイとタナベに「じゃなくてプレッシャーを与えて与えて疲れさせて、相手に『もうどうでもいいや』と思わせることだ」とした。
また、現役時代に師事したカール・ゴッチさんの教えも披露。相手の腕の持ち方も、ゴッチさんから教わったものを自分なりにアレンジしたことを明かした上でこう続ける。「ゴッチさんからは『お前と俺では腕の長さも違うし筋力も違う。だから自分がいいように改善しろ。それで初めて完成だ。教わったままやっているうちはまだダメだ』と言われたよ。自己流に考えて自分なりにやりゃあいいんだ。もっといい方法はないだろうかと、常に考えることだ。バカは強くなれない」
濃密すぎる時間を過ごしたシビサイは感銘を受けた様子で「アームロックとか、自分が今まで教わってきたものと違う初めての形だったので。力が拮抗してしまった時にああいうテクニックが生きると思いました」。タナベは現在のグラップリングの流行技と藤原組長のテクニックに共通点が多かったことに驚きを隠さず「自分が新しい発見かと思っていた技術が、全然そうじゃなくて昔からあるもので驚きました。最近はやっている形のヒールホールドも、だいぶ前からある技だと知って興味深かったです」。これに藤原組長から「イワン・ゴメスっていう柔術家がいてな。そいつに教わったんだよ」と明かされ、目を丸くしていた。












