自民党内での暗闘が熱を帯びている。臨時国会が閉会し、党内で注目されているのは1票の格差是正のために衆院の小選挙区が10増10減と変更になったことを受けての候補者選定の行方だ。地盤確保のために現職から元職、新人らが営業、売り込みで躍起となっているという。

 臨時国会が閉会となったものの、岸田文雄首相に息つく暇はない。自民党内でさや当てが始まっているのは、衆院選の候補者となる小選挙区支部長の座の奪い合いだ。

 改正公職選挙法が先月成立し、次期衆院選からは宮城、福島、新潟、滋賀、岡山、広島、山口、和歌山、愛媛、長崎の10県で各1減となる。山口では、故安倍晋三元首相の弟で2区選出の岸信夫前防衛相が11日に引退の意向を表明し、長男信千世氏を後継に指名した。

 岸氏が早々に動いたのはワケがある。「もともと持病がある岸氏はいち早い後継指名で地盤を確保し、信千世氏が山口の1減や安倍元首相の後継争いの混乱に巻き込まれることを避けた格好です」(議員秘書)

 宮城では、昨年の衆院選で5区から立候補するも敗れ、比例復活でも次点で涙をのんだ元タレントの森下千里氏の動向が注目されている。

「新区割りで(現4区の)伊藤信太郎衆院議員と競合するが、森下氏は昨年の衆院選で立憲の安住淳国対委員長相手に健闘し、その後も熱心に活動していることで地元の受けがいい。落選中の森下氏が地盤を得て、伊藤氏がコスタリカ方式で比例に回る可能性があります」(党関係者)

 ドロドロの暗躍が繰り広げられているのが10増の方だ。神奈川で2、千葉、埼玉、愛知でそれぞれ1増えるが、最大の激戦区は5増の東京。昨年の衆院選で石原伸晃元幹事長ら3人が落選していたこともあり、8人の新支部長が誕生する可能性もあるからだ。

「片山さつき参院議員や大阪では維新に勝てないから東京に行きたいと執行部に働きかけている元職、参院選の落選浪人組にスキャンダル組の元職、さらに新人の売り込みまで、いろいろと働きかけがあると名前が飛び交っています。(石原)伸晃氏が次の選挙に出るとは明言していないので、スキあらば潜り込もうと必死ですよ」(同)

 永田町は選挙区を持たない議員は肩身が狭く、比例復活組に至っては議員バッジを着けていてもおまけ扱いされることもある世界。党本部側は公明党との調整もあり、減る県では年内、増える都県では来年4月までに支部長を決着させたい考えで、1国1城のあるじを目指して、党内バトルは過熱しそうだ。