奥が深すぎる小麦の世界――。米の消費量が減る一方で、小麦の消費量はほぼ横ばい。自給率は高くなったり低くなったり…。我々の暮らしに不可欠な小麦に目を向けると、意外と知らない事実が次々と判明。国産小麦が注目される中、流通ウォッチャーの渡辺広明氏と取材した。

 先月都内で行われた「ラーメン産業展」でひときわ耳目を集めていたのが、日清製粉が国産小麦100%使用した小麦粉を紹介する展示ブースだった。北海道産「ゆめちから」や「春よ恋」などラーメン通の間では比較的メジャーなものから、福岡県産「ラー麦」、愛知県産「ゆめあかり」など知る人ぞ知るものまで全国各地の国産小麦を使用した小麦粉29種をラーメン向け、つけ麺向けとしてわかりやすくアピール。個性豊かなパッケージがズラリと並んだ。

左から「傾奇者」「スノーフレーク」「オーション」のデザイン(日清製粉提供)
左から「傾奇者」「スノーフレーク」「オーション」のデザイン(日清製粉提供)

 なぜ今、国産小麦なのか? 渡辺氏とともに日清製粉株式会社営業企画部の上原岳夫部長を取材した。

「国産国消の機運が高まってきたことです。国産小麦はこれまで中力粉系が多かったのですが、地道な品種改良によって『ゆめちから』や『春よ恋』といった強力粉に向くものが出てきました。全体で見ると輸入小麦が約90%近くを占めていますが、小麦の自給率は20年に15%まで伸びました」

 料理をされない方のために補足しておくと、小麦粉は含まれるたんぱく質の量に応じて強力粉、中力粉、薄力粉の3つに区別され、用途はざっくりと、パン、麺、お菓子といったところだ。ラーメン用は中力粉と強力粉の中間の準強力粉が使われることが多い。

「地球温暖化など自然環境の変化による穀物生産の不安定性と直近のウクライナ情勢をはじめとする国際情勢を反映し、原材料価格は高騰しています」(上原氏)

 農林水産省は今年、4月からの輸入小麦の政府売り渡し価格を17・3%引き上げ、過去2番目に高い1トン7万2530円とすると発表し、10月もこれを据え置いた。

 世界的な物価高で値上げやむなしの中、製麺所やラーメン店もより付加価値のある麺を開発しようという動きが活発になっている。

 では、どんなラーメンにどんな小麦粉が使われているのだろうか? 二郎系ラーメンには日清製粉の「オーション」が欠かせないなどと言われているが…。