北朝鮮の公式行事で先月、金正恩総書記の愛娘がお披露目されたと話題だ。英国のタブロイド紙がスッパ抜き、韓国メディアも食いついたが、韓国政府は懐疑的。北朝鮮が公開した写真には、娘とされるその少女が心霊写真のように半分隠れたカットもあり、一国の“プリンセス”にそんな不敬な扱いはないということで、誤報説が濃厚だった。ところが今月に入り、新展開があったのだ。
首都・平壌で先月8日、建国74周年慶祝行事が開催された。観客数万人が集まり、李雪主夫人を連れた正恩氏、妹の金与正氏や政権幹部たちは最前列のVIP席に。約2時間のイベント後半では、子供たちが舞台で歌って踊った。
そのうち1人の美少女が、正恩氏の第2子で10歳くらいとされるジュエさんではないかというのだ。中国在住の北朝鮮専門ブロガーの指摘を引用し、同23日にこれを報じたのは英デーリー・メール紙。
ほかの子たちと違い、その少女だけ髪が短いボブで、カチューシャや白い靴下を着けているという“別格ぶり”に同紙は注目した。朝鮮中央テレビが放送した映像では、雪主夫人が少女の腰に手を回して耳元で何かささやいたり、正恩氏を前に興奮して近寄る女の子を少女が冷静に制止したりしている。これも同紙はジュエさんだという根拠としている。また、少女が舞台のセンターに映るようなシーンもある。
韓国メディアは大騒ぎ。だが韓国政府は、南北関係を担当する統一部が同27日に「まだ具体的根拠はない」とすれば、情報機関の国家情報院も翌28日に「可能性は低い」と懐疑的な見方を示した。
朝鮮半島事情に詳しい民間研究者は「金正恩を前に、他の子たちは両手を上げて跳びはね喜んでいるのに、その少女だけ落ち着いているのは気になる」と指摘した。「北朝鮮は映像だけでなく、約40枚のイベント写真を公開している。うちジュエとされる少女が写っているのは3枚」とも話した。
1枚は、国旗を振り上げるその少女が中心のカット。ただ残り2枚は正恩氏とチビッコたちの集合写真で、前列にいる男の子や国旗で少女の顔が半分隠れている。
「ロイヤルファミリー『白頭の血統』を受け継ぐ子の前に立つなんて不敬。仮に正恩の愛娘と分かっていれば、男の子が前に来ることはない。当局は写真を修整してでも、顔を全部写るようにするはず」と前出研究者はみるが、少女が周囲に出自を伏せているなら話は別だ。
このまま誤報説に傾くかと思いきや、北朝鮮の方から新たなサインが出た。今回のイベントの特集記事を組んだ北朝鮮の月刊誌「錦繍江山(クムスガンサン)」と「画報朝鮮」の最新号は、国旗を振る少女が中心のカットを掲載したのだ。
うち「画報朝鮮」は、金正恩夫妻がVIP席に座る写真と、その少女の写真の2カットだけを1ページに大きく並べた。説明文は付いてないが、前出の研究者は「『少女はただ者ではない。推して知るべし』というメッセージを、北朝鮮が国内外に送っていると受け取れる」と指摘した。
この2誌は、北朝鮮宣伝サイト「朝鮮の出版物」が今月2日までに公開した。両誌とも、少女が海外メディアで注目された後の発行だけに、意味深長な扱いと言わざるを得ない。
ちなみに正恩氏の愛娘の名前が「キム・ジュエ」というのは、9年前に訪朝し雪主夫人と話した元NBA選手デニス・ロッドマン氏が英メディアの取材で明かし、広まった。正恩氏の子供はジュエさんの上に男の子、下にもう1人いるが、ともに名前は不明だ。













