悲願の初賜杯に望みをつないだ。大相撲秋場所14日目(24日、東京・両国国技館)、幕内高安(32=田子ノ浦)が関脇豊昇龍(23=立浪)を破って11勝目(3敗)を挙げた。

 取組前に優勝争い単独トップの幕内玉鷲(片男波)が2敗を守り、負ければ千秋楽を待たずにV逸が決まる一番。高安は踏み込んで豊昇龍を起こすと、冷静に引き落とした。その後も表情を変えることなく「いつもと変わらず相撲が取れた。立ち合いいい当たりができたので、反応よく決めることができた」と淡々と振り返った。

 最終盤を迎えて緊張感がピークに達してもおかしくないが、高安は「今はとても穏やかな感じ。明日の相撲もリラックスしてやりたい」と、心身ともに安定している。

 昨年春場所や今年3月の春場所では単独トップから失速した一方、今場所は7日目に先頭に並んだとはいえ、あくまで追いかける立場。「(今日は)いつも通り平常心で取れた」との言葉からも過去のV争いと比べて〝ノンプレッシャー〟で土俵に立つことができているのかもしれない。

 土俵外にも発奮材料がある。先月、第2子となる長男が誕生。妻で演歌歌手の杜このみは地元の札幌市で里帰り出産したが、場所前に一度だけ夫人の故郷に足を運んで会うことができた。

「より一層頑張らないといけないと気が引き締まりました。僕は子供たちが物心つくまで元気に相撲を取りたいし、いいところをしっかり子供たちに見せたい」とも話していた。

 25日の千秋楽は玉鷲との対戦が組まれた。逆転優勝には本割、決定戦での勝利が必要だが、元大関は〝平常運転〟で臨む。「何度も戦った力士。明日も盛り上げられたらいい。2番取る気持ち? なるようになると思うので、精いっぱいベストを尽くしたい」。不利な状況でもあきらめるつもりはない。