フィギュアスケート男子で五輪2連覇を達成した羽生結弦(27)の衣装をモチーフにしたボールペンが、大きな反響を呼んでいる。地元宮城・仙台の百貨店藤崎が、15~28日の期間限定でオンライン予約販売を開始。納期は2024年8月中旬以降にもかかわらず、注文殺到に関係者から驚きの声が上がった。

 今回の企画は、地元に貢献してきた羽生に感謝の気持ちを伝えたいとの思いから実現。同県の伝統工芸品「玉虫塗」を手がける東北工芸製作所が、2月の北京五輪のフリーで演じた「天と地と」などで着用した衣装をイメージし、同社の職人が一つひとつ手作業で作り上げる。値段は1本8800円で黒、赤の2色ボールペンとシャープペンの一体型だ。

 店頭販売はされていないが、同店で開催されている「羽生結弦展2022」(15~28日、事前予約制)で見本を展示中。ボールペンは1人1本のみ購入可能でありながらも、納期は異例の約2年待ち。東北工芸製作所の佐浦みどり常務は「私も羽生さんのファンですが、これほどまでに広がるとは思っていませんでした」と目を丸くするほどだ。

 そんな中でも、あえて販売本数に制限を設けなかった。藤崎の広報担当者は「これまでの本数は差し控えますが、多くの羽生さんのファンやみなさまにお届けしたいと思っています。お待たせしますが、多くの方に商品をお届けしたいとの思いです」と説明。ファンも理解を示しており「待つことも楽しみの一つです」などと前向きな言葉が目立っている。

 いかに売り込みをせず、売れるようにすることも定義の一つであるマーケティングの見地からも興味深い事例だという。日本マーケティング協会の河野安彦氏は「ボールペンは差別化しにくいものですが、羽生結弦さんというブランドがつくことで、すごいブランド価値が生まれたのではないでしょうか」と分析した。

 プロ転向から2か月。羽生結弦は、あらゆる付加価値を生み続ける。