筋肉は加齢とともに減っていくが、その一方で増えやすくなるのは脂肪だ。運動をしない生活を続けていると「サルコペニア肥満」という病気になるリスクが高くなるという。同病気は、メタボよりも生活習慣病リスクが高くなるというから注意が必要だ。自分でできるチェック方法や予防方法を整形外科専門医の古賀昭義医師に教えてもらおう。

 ――サルコペニア肥満とはどんな病気なのでしょうか

 古賀医師(以下古賀)筋肉が減少している状態と肥満の両方を併せ持っている状態のことをいいます。サルコペニアという言葉には「サルコ」=筋肉、「ぺニア」=減少という意味があります。加齢により筋肉量は減少していきます。そのため、高齢者に発症しやすい病態であるといえますね。サルコペニア肥満は隠れ肥満、加齢肥満とも言われます。病院で診断を受ける際は、サルコペニア肥満や隠れ肥満という言い方はせず「肥満気味なので生活習慣を見直しましょう」などと言われたりしますよ。

 ――原因は

 古賀 ただでさえ加齢とともに筋肉が減りやすいうえに、普段あまり体を動かさない生活を続けていれば、「サルコペニア」が進みやすくなります。そうなると動くのがますますおっくうになりますよね。脂肪もたまってサルコペニア肥満が進行するという悪循環に陥ってしまいます。脂肪が増えると、脂肪細胞からは動脈硬化や様々な生活習慣病の原因となる悪玉物質が分泌されるため、知らず知らずのうちに高血圧や糖尿病などのリスクを高めている可能性もあります。実際にサルコペニア肥満は、メタボよりも生活習慣病のリスクが高くなることが最近の研究調査で明らかになってきているんです。

 ――サルコペニアを自分でチェックする方法があるとか

 古賀 ふくらはぎは筋肉の衰えが表れやすい部分ですので、ふくらはぎの状態でチェックすることができます。両手の親指と人さし指で輪を作り、自分のふくらはぎの一番太い部分を囲みます。両指がつく状態だと黄色信号です。もう1つの方法は、手を胸の前に組んで椅子に座り片足で立ち上がります。左右どちらかができなければ、サルコペニアの可能性があります。

 ――治療法はどのようなものがありますか

 古賀 筋トレとストレッチをセットで行うのが効果的です。筋肉を鍛えるうえで大切なのは強さと柔軟性。中高年からでもしなやかで質の良い筋肉を育てることは十分に可能です。効果的なのは、力を入れて筋肉を収縮させる筋トレと、リラックスして伸ばすストレッチの組み合わせです。筋肉が伸びれば筋肉の中の血管も伸び、血流も良くなります。

 ――具体的には

 古賀 椅子やテーブルに両手を置いて、息を吐きながらかかとを上げ、息を吸いながら戻す筋トレとアキレス腱を伸ばすときの姿勢でストレッチを行うだけでも効果があります。下半身の筋肉は、エネルギーを多く消費するところなので、毎日続ければ基礎代謝量も自然にアップするのでぜひやってみてください。

 ☆こが・あきよし 医療法人社団永生会「クリニック グリーングラス」整形外科。整形外科専門医、医学博士、抗加齢医学専門医、往診専門整形外科医。