【取材の裏側 現場ノート】大相撲は出稽古の期間を迎えている。7月の名古屋場所後には、コロナ禍で開催が見送られてきた巡業が約2年8か月ぶりに再開。今回の出稽古も、異なる部屋同士の力士たちが切磋琢磨する貴重な機会となるはずだ。格上の力士に胸を借りたり、苦手なタイプの力士と胸を合わせたり、稽古の目的は人それぞれ。個人的には小結豊昇龍(23=立浪)の動向に注目している。
言わずと知れた、優勝25回を誇る元横綱朝青龍を叔父に持つ〝サラブレッド〟。抜群の身体能力と闘志を前面に出すスタイルは朝青龍と姿が重なる。豊富な稽古量と体重増量などの努力が実を結び、3場所連続で小結の地位を維持している。ただ、大関挑戦の起点となる三役での2桁白星は未経験。先場所も千秋楽に敗れて9勝どまりに終わった。
ひと皮むけるには、何が足りないのか。巡業部長の春日野親方(元関脇栃乃和歌)は「下がってからの投げが多い。しぶとさはあるが、もう少し前に出る力を付けてほしい。上位では〝かわす相撲〟ではなく、前に出て自分の相撲の形をつくることが必要。それが課題だ」と指摘している。土俵際での反応の良さばかりに頼らず、勝負の主導権を握る馬力をつけることが不可欠のようだ。
この数場所は大関陣のふがいなさが目立つ一方で、豊昇龍は待望される次世代の看板力士候補。この夏に力を蓄えて、実りの秋を迎えてほしい。
(大相撲担当・小原太郎)












