熱帯夜は寝苦しい! 寝つけない! そんな皆さんのために2人のプロをお招きしました。「なぜ、あの人はよく眠れるのか」(主婦と生活社)の著者で睡眠改善コーチの三輪田理恵氏と、マットレス専門家の椚大輔氏に、寝苦しさを和らげ、少しでも心地よい睡眠を手に入れるコツを教えてもらいましょう。
【エアコンのつけ方】
睡眠は、寝はじめの1~2時間が大事です。体温を下げて眠りにつく仕組みがあるため寝るときにエアコンをつけるというよりも、寝る30分~1時間前にエアコンをつけて寝室の温度を下げて冷やしておくのが理想です。
エアコンがどうしても苦手だという人は、タイマーを使って就寝2~3時間後に消えるように設定し、エアコンを使う時間を短くする方法もあります。除湿モードで室温を下げたり、接触冷感素材の寝具などを使ったりすることでも体感温度を下げることができます。
【こんなコツもある】
人間の体は脳や臓器などの深部体温が下がると眠くなります。実は脳に熱があると寝つけなくなるんです。暑さで寝つけないときはおでこに保冷剤を置いたり、氷枕を使って頭を冷やしたりするのも効果的ですよ。
エアコンがない寝室で寝るときは、扇風機を使って風が直接体に当たらない状態で空気をかき回すようにして寝るのがオススメです。また、ペットボトルに入れた水を凍らせて扇風機の前に置くと、気化熱で涼しく感じられるのでやってみてください。
【冷えすぎも快眠を妨げる】
エアコンをつけて寝ると腕が冷たくなっていることもあると思います。特に、明け方は人の体温が一番下がる時間帯ですので、朝起きたときに体が冷えているという人も多いはずです。
エアコンの風は体に直接当たらない方が良いのですが、エアコンが苦手な人は特に注意した方が良いでしょう。冷えが気になる人は、夏場でも長袖長ズボンで寝て、エアコンで室温を調整するのがオススメです。パジャマの生地は化学繊維のものよりも綿素材やシルクといった天然素材の物を着る方が体温調整はしやすくなります。
また、夫婦やカップルで一緒に寝ている方は、どちらかが暑がりや寒がりでエアコンの温度を決めるのが難しいといった場合もあります。そういうときは暑がりな人に室温を合わせて、寒がりな人は服装や布団で調整するのが良いでしょう。
【敷パッドを上手に使おう】
マットレスや布団はシーツやカバーをかけて使いますが、季節に応じて「敷パッド」を使うと温度・湿度の調節がしやすくなります。
夏にオススメの敷パッドといえば「接触冷感系」ですね。体の熱が移動することによって「ひんやり感じる」仕組みで、その素材はいろいろありますが、吸水性や通気性とのバランスが大切。「冷たく感じること」と「蒸れにくいこと」、この2つがしっかりと考えられている商品を選びましょう。
【蒸れにくいマットレスとは?】
マットレスに関しては、結論、最も蒸れにくいのは「ファイバー」タイプです。エアウィーヴさんなどでもおなじみの素材ですね。ファイバーはほぼ空気の層でできているので通気性が抜群。さらに釣り糸を作る技術を応用しているため、芯材まで丸洗いできる商品も多いです。
なお、ファイバー以外のマットレス(スプリングコイルやウレタンフォーム)でも、蒸れにくい仕様の商品もあるので、通気性や吸湿・吸水性といった点に着目してチェックしてみてください。
見落としがちですが、マットレスのカバー(側生地)もポイントです。いくら芯材の通気性が高いといっても、体の近くにあるカバー自体の通気性や吸水・吸湿性が悪いと結果的に蒸れやすいマットレスになってしまいます。そのようなマットレスの場合は、先述した敷パッドなどを活用しましょう。
【進化がすごい!マットレスの素材】
最近では温度を自動調節できる素材を使ったマットレスも増えてきました。代表的なのは「PCM(相変化材料)」です。
簡単に言うと、設計温度に自動調節してくれる素材のこと。人が快適に感じる寝床内温度は33度±1度といわれているため、このあたり(33度前後)を設計温度にしていることが多いよう。暑い夏でも寒い冬でも年中通して理想的な寝床内温度がスムーズに実現しやすいということです。
また、グラファイトという鉱物が混ぜられたマットレスもあります。熱伝導率が高いので、寝たときの熱を逃がしやすくなり、蒸し暑く感じにくいです。
☆みわた・りえ 睡眠改善コーチ・メンタルトレーナー。日本睡眠学会正会員/上級睡眠健康指導士。全米NLP協会公認NLPトレーナー/NLPプロフェッショナルコーチ。2016年から企業・学校・行政などで睡眠やメンタル講座、個別コンサルティングを行い、1万人以上を快眠にいざなう。
☆くぬぎ・だいすけ 株式会社悠デザイン・代表取締役。家具メーカーに約7年間勤務後、2016年に「コストパフォーマンス良く失敗しないベッドを選んでほしい」という思いで、ベッド専門情報メディア「ベッドおすすめランキング」(https://bed205.com)を開設。ベッドフレームやマットレス選びのポイントやオススメの商品を発信している。