世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が10日に開いた会見が波紋を呼んでいる。田中富広会長が「霊感商法を行ったこともなく、民事訴訟は激減し、結婚した信者の離婚率は2%以下で多くのカップルが幸福円満に過ごしている」と主張したからだ。ところが訴訟は激減しても、約1億円もの損害賠償を求められたケースはあった。〝第2の山上〟が生まれかねない、その実態とは――。
旧統一教会の田中会長は会見で司会の制止を振り切り、予定時間を10分以上オーバーして〝独演会〟を展開した。
要約すると内容は主に以下の5項目。①信者からの民事訴訟は激減した②霊感商法は宗教法人として過去も現在も行ったことはない③教団の名称変更は旧統一教会の正体隠しではない④フェイクニュースで信者の人権や信教の自由が侵害されている⑤結婚した信者の離婚率は2%以下だった。
旧統一教会を連日厳しく批判している日本テレビ系「ミヤネ屋」は11日の放送で、MCでフリーアナウンサーの宮根誠司が「40分間、独演のような会見でした。なんのための会見だったのか」と首をひねった。
会見で注目を集めた一つが、①信者からの民事訴訟は激減した――だ。田中会長は、信者から献金の返還を求めて旧統一教会が提訴された民事訴訟について、係争中の件数はピークの1998年に78件あったが、2022年は5件にまで減ったなどと力説。フリップでも示し「この20年余りで約20分の1に!」と「!」を用いて強調したうえ、「各事案に丁寧に対応させていただいています」と語った。
ただ、「この20年余り」の訴訟を個別に精査すると、約1億円もの損害賠償を求められたケースがあった。
埼玉県の70代女性は16年、高額献金や霊感商法で8200万円の被害を受けたと主張し、旧統一教会と信者を相手取り、被害額や慰謝料など約1億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。被害額8200万円の主な内訳は、聖本1700万円、壺(つぼ)250万円、像120万円、高麗人参茶30万円。関係者は「埼玉の女性は家族が自殺しており、ここを信者に付け込まれ、約20年にわたり高額献金や霊感商法で被害を受けたと主張したんです」と話す。
ここで思い出されるのが安倍晋三元首相銃撃事件だ。山上徹也容疑者は、父が自殺した後、母が旧統一教会に入信し、総額1億円を献金した。
「埼玉の女性と山上容疑者の母は入信の経緯が似ている。かたや8200万円の被害、かたや1億円の献金と貢いだ額も近いです」(前出関係者)
埼玉の女性の訴訟は双方が代理人弁護士を立てて争ったが、「最終的に和解が成立しました」(同)。旧統一教会の担当者も「和解が成立したと聞いております」と回答した。
とはいえ、旧統一教会は過去に1億円超の損害賠償の支払いを命じられた判決が出ており、現在は信者からの訴訟は激減したとしても、近年も高額な損害賠償を求められる訴訟は起きている。
「高額献金の被害を恨んで事件を起こす〝第2の山上〟が現れないためにも、周囲の支えが必要です」と前出関係者は訴えた。












