ライバルの見解は――。日本人初の4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(33=志成)の5度目の防衛戦(13日、東京・大田区総合体育館)が目前に迫った。挑戦者で同級1位のドニー・ニエテス(40=フィリピン)は2018年12月に判定負けした因縁の相手。現役時代に井岡と死闘を演じた元3階級制覇王者・八重樫東氏(39)が決戦の行方を占った。

 井岡は11日に都内で行われた予備検診に臨み、異常なし。試合本番へ向けて「ニエテス選手に負けて、そこから4階級制覇を達成した。運命として、もう一度戦う時がきた。きっちり決着をつけて、どちらが本当のチャンピオンか証明しないといけない」と闘志を燃やした。決戦ムードが高まる中、かつて井岡と拳を交えたライバルはどう見ているのか。

 八重樫氏はWBA世界ミニマム級王者だった2012年6月、WBC同級王者(当時)の井岡と史上初の日本人同士による王座統一戦で激突。今も語り草となっている伝説の一戦で判定負けした八重樫氏は「井岡君は完璧主義なんです。僕も試合の序盤から完璧を目指しますが、途中で崩れたら〝もういいや〟ってなる性格。でも、彼は最後まで100点を目指す。だから12ラウンド(R)まで崩れないボクシングができるんです」と敬意を込めて指摘する。

 KOは少なく派手さはないものの、そのスタイルは玄人好み。八重樫氏はその強さをこう表現した。

「彼のボクシングを服でたとえると黒ですかね。ベーシックで手堅く、絶対にミスをしない安定型。どんな時も合わせやすくて無難なんですが、そのレベルが圧倒的に高い。ユニクロの黒ではなく、ルイ・ヴィトンの黒っていう感じ(笑い)。もっと分かりやすく言うならスルメです。かめばかむほど味が出る」

 また、ニエテスとの力関係についても「井岡くんが一枚上」と断言。前回の対戦以降の戦いぶりを分析した上で「もともと完成度の高いボクシングにプラスして、最近はアグレッシブさが出てきた」と井岡の進化を感じ取っている。それを踏まえて、試合の展開を次のように予想した。

「技術戦で激しいプレス争いになると思いますが、田中(恒成)くんを倒した左フックのようなタイミングを取れれば、井岡くんが倒す展開もありますね。また、前回から戦った選手のクオリティーを考えると、井岡くんのほうが上積みがあると思います。この間(約3年7か月)に技術面で差が開いているかもしれません」

 王者同士による激闘を繰り広げた男だからこそ分かる本当の強さ――。三十路を超え、さらにいぶし銀の輝きを増す井岡のボクシングに注目だ。