俺たち炎上しないので――。矢野阪神はリーグ最強の投手陣を前面に押し出し、球宴まで「勝率5割」をノルマにスパートをかける。

 38勝43敗2分けの5位(11日現在)ながら、2位の巨人まで2・5ゲーム差。井上ヘッドコーチが「(オールスター戦までの)12試合で借金を返したい」と言い、球宴明けから首位ヤクルトを本気で追撃するためにも借金完済が必須だと訴える。

 そこで大事になってくるのが、12球団屈指の陣容を誇る投手陣だ。勝ち数、勝率、防御率などリーグの主要投手部門トップのエース・青柳や西勇を中心にした先発陣の防御率はリーグ断トツの2・86。救援陣も今季ブレークした湯浅や守護神・岩崎とタレント揃いで同2・56と万全だ。

 先発、中継ぎともにチーム防御率2点台はセ界唯一で、総失点246はもちろん最少。投手陣が1イニング3失点以上したのは中日43、巨人36、DeNA35、ヤクルト、広島が28の中、阪神は25と少ない。1イニング5失点以上の〝炎上〟はたった1度と安定感も抜群だ。

 ラスト12試合となった球宴までの前半戦はムチの入れ時でもある。ヤクルトの新型コロナ禍により9、10日の2試合が中止となり、12日からの9連戦を前に投手陣は骨休めに成功。質量とも充実の先発陣は、ライバル球団がエース格の投手を中6日から中5日へと間隔を詰める中で、全員が中6日以上で出撃可能だ。

 救援陣は2カード前の広島3連戦から10人がスタンバイし、22日からのDeNA3連戦では余った先発投手が第2先発の形でブルペン待機することもできる。金村投手コーチも「今、中継ぎを10人抱えている状態でベンチ入りは9人ですけど、やりくりをうまいことすれば、そんなに疲労を抱えることもないかな」と自信満々だ。

 借金完済へのノルマは9勝3敗。矢野燿大監督(53)も「ひっくり返したら、とんでもない歴史的な年になる」と改めてチームを鼓舞している。首位まで15・5ゲーム差からの奇跡は〝しくじらない〟ハイレベルな投手陣が鍵を握る。